三井不動産が千葉・船橋の「EC自動化物流センター」お披露目、将来は他の事業者とシェアも想定
三井不動産は6月5日、千葉県船橋市で開発した物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋Ⅲ」内に設けている「EC自動化物流センター」をメディアに公開した。
センターは、三井不動産グループが展開している商業施設「三井ショッピングパーク」の公式通販サイト「&mall(アンドモール)」向け商品の入出荷を実際に担っており、自動倉庫を活用したピッキングシステムや自動製函機、バース予約システムなど先進機器を導入して積極的に業務の効率化を図っている。物流施設デベロッパーがEC物流の自動化を担う拠点を自ら構えるのは異例とみられる。
将来は他のEC事業者が自動倉庫などを利用できるシェアリングサービスを展開し、商品入出荷の迅速化をサポートすることで、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が危惧されている「2024年問題」への対応を後押ししていきたい考えだ。センターで培った物流自動化・省力化のノウハウを今後の物流施設開発に生かしていきたいとの狙いもある。
「MFLP船橋Ⅲ」の外観
センターは「MFLP船橋Ⅲ」4階の一角約6600㎡を活用。フランスのEXOTEC(エグゾテック)が製造、IHI物流産業システムが扱っている3次元走行ロボットを活用した自動ピッキングシステム「Skypod(スカイポッド)」を取り入れ、入出荷作業の迅速化・省力化を図っている。
Skypodは搬送ロボットが前後左右上下に走行し、積み重ねたラックに収めている「ビン」と称する専用設計のトレーやケースの中から必要なアイテムが入ったものを取り出し、作業者の手元まで自動搬送する。
日本では「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングや家電量販大手のヨドバシカメラが物流拠点に採用したことで知られるが、国内で稼働している現場をメディアに広く公開したのは初めてとみられる。センターではコンベヤーとも連携し、ピッキング作業を最大限効率化している。
Skypod。搬送ロボットが自在に走行している
ピッキングエリアまでカートを搬送
センターはこのほか、入荷の際に商品のサイズを立体的に自動計測するコグネックス製の寸法測定システムを採用。出荷時に適切な大きさの梱包をシステムが自動的に選ぶようにし、梱包の無駄を排除している。
商品の大きさや高さに応じて自動的に段ボールケースの大きさを調整するレンゴーの自動製函機と自動封函システム、納品書を印刷してケース内に封入する自動封入機、配送先のラベルを自動で印刷・貼り付けするオートラベラーを配備。Hacobuのトラックバース予約システムも活用している。
自動製函機
オートラベラー
商品のサイズに合わせて適正なサイズの梱包を仕立てている
あらかじめケースに商品データを登録したQRコードを印刷している
MFLP船橋Ⅲ内で同日、記者会見した三井不動産ロジスティクス本部の大間知俊彦ロジスティクス事業部長兼イノベーション推進室長は、センターを利用してユーザー目線で物流の改善活動を繰り返し実施していく姿勢を強調。センターの自動倉庫などをシェアリングする上で「自動化と併せて、共同配送による積載率向上も取り組んでいきたい」と意欲を語った。
同社商業施設本部の亀井俊介&mall事業室長は、自社の自動化センター活用により、1日当たりの最大出荷キャパシティが2倍以上に高まり、庫内作業の人件費が約2割抑えられたと指摘。「サービス品質向上と効果の拡大をさらに図っていきたい」と述べた。
(藤原秀行)