パイオニアが企業の「安全運転管理者」実態調査、他の業務も厳しい状況浮き彫りに
パイオニアは6月16日、企業で車両管理や安全運転管理業務を担当する150人を対象に実施した、安全運転管理者業務の取り組み状況や課題に関するアンケート調査結果をまとめた。
昨年4月に義務化された「白ナンバー」車両使用事業者のアルコールチェック実施率が55.8%にとどまった上、その他の義務化されている管理業務については半数を大きく下回っていることが明らかにになった。
併せて、「日々の書類作成・管理を伴う業務が大きな負担になっている」「情報管理がアナログな手法で行われている」ことも判明した。
パイオニアは調査結果を踏まえ、各要因が安全運転管理者の負荷増大と管理業務遂行の妨げになっていると推測。その一方で、課題解決に向けて、多くの企業が管理業務の効率化につながるDX・ITツール、車両管理システムの導入を検討するなど、改善意識が高いと指摘した。
<調査概要>
調査名称 | 社有車の管理業務に関する調査 |
調査方法 | インターネット調査 |
有効回答数 | 150名 |
調査対象 | 社有車を5台以上所有する白ナンバー事業者で、車両運用管理を担当した経験がある人 |
調査期間 |
2023年2月16日(スクリーニング) 2023年2月21日~2023年2月22日(本調査) |
負担になっている業務の上位には「運転日誌の作成・管理」と「アルコールチェック」が並び、日々の書類作成・管理を伴う業務が大きな負荷となっていることをうかがわせた。
また、情報管理に「紙の書類」や「Excel」「Word」などを使用する企業が6~7割を占め、「未作成」と回答した企業もあった。その半面、車両管理システムなどを3年以内に導入すると回答した企業が6割以上を占め、業務改善の意識が高かった。
<調査結果詳細>
①直近1年間で社有車に関して会社として意識が高まったと感じる項目は?
「運転者への法令遵守徹底意識」が47.3%と最多。次いで「車両管理・安全運転管理業務の強化意識」が44.0%と、企業として車両管理業務の徹底・見直し意識が高まっている様子が伺える。
②実際に行っている/負担に感じる安全運転管理業務は?
実際に行っている安全運転管理業務について質問すると、2022年4月に施行された道路交通法の改正に伴い、「アルコールチェック」の実施率が最も高かったものの、55.8%と全体の約半数にとどまった。さらに、実際に行っている業務と負担に感じる業務についての回答を比べると、「運行計画の作成(ルート作成・人員配置)」や「ドライバーとの連絡・指示」といった自動化しづらい業務が負担となりやすいことが分かった。
③安全運転管理業務を行う上で課題に感じることは?
業務を行う上での課題は、「情報管理がアナログなので記録や確認が手間」「各種データの管理方法がバラバラで突合が手間」「ドライバーから集める書類に提出・記入漏れがある」といった情報の収集・記録・管理に関する内容が上位にランクインした。車両運行に関する書類を作成・管理する業務が、安全運転管理者の大きな負担となっていることが分かった。
また、車両管理台帳と運転日誌、運転者台帳と運行計画など、別々の書類を突き合わせる際に各種データの管理方法が揃っていないことも、業務を非効率にする要因となっているとみられる。パイオニアは「安全運転管理業務の運用・管理を徹底するために、データ管理の効率化・業務工数の削減・運用の仕組み化が求められている」との見方を示した。
■データ管理に使用しているツール
情報管理に使用しているツールについては、いずれの項目でも「紙の書類」ないし「Excel」「Word」という回答が6〜7割を占めた。
④管理者向けシステムの導入・改善の予定は?
今後の意向については、「管理者向けシステムの導入・改善」に取り組む予定が78.0%、「運転者向けシステムの導入・改善」に取り組む予定が80.0%と、システム導入に対する関心の高さが伺える。管理者向けシステム・運転者向けシステムでともに「3年以内に導入予定」が60%以上を占めた。
中でも車両を51〜300台規模で保有している企業では「今後1年以内にシステム導入予定」の割合が高く、パイオニアは「中規模〜大規模の企業を中心に今後ますます車両管理システムなどの導入が進むと考えられる」とみている。
(藤原秀行)