製品のCO2削減率示した独自指標普及後押しへ、トラウデン直美さんが「最高脱炭素責任者」就任

製品のCO2削減率示した独自指標普及後押しへ、トラウデン直美さんが「最高脱炭素責任者」就任

博報堂と三井物産が新会社設立

博報堂と三井物産は7月10日、消費者の間で脱炭素の意識を広める活動「Earth hacks(アースハックス)」を加速させるため、新会社「Earth hacks」(東京都渋谷区)を折半出資で今年5月に設立したと発表した。

アースハックスの一環として展開している、様々な商品やサービスを生み出す上で排出したCO2を旧来より減らせた割合を分かりやすく可視化する指標「デカボスコア」を、より幅広い領域で普及させ、消費者が主体的に脱炭素を実現できるよう後押しする。

博報堂と三井物産は併せて、新会社に関連し、デカボスコアの認知度向上へ情報発信などを担うCDO(チーフ・デカボ・オフィサー)に、人気モデルのトラウデン直美さんを任命したことも公表した。


デカボスコア(Earth hacks提供)


記者発表でデカボスコアをPRするトラウデン直美さん。シャツもCO2削減にこだわったものという

アースハックスは2021年11月に博報堂と三井物産が共同プロジェクトとして開始。デカボは脱炭素を意味する「デカーボナイゼーション(Decarbonization)」の頭の部分を取った造語で、デカボストアを企業や団体に提供しており、既にトヨタ自動車や日本航空(JAL)、UCCホールディングスなど70社以上が導入。自社製品がどの程度CO2削減に貢献できているかのアピール活動などに利用している。

デカボスコアは金融的な手法を使い脱炭素を促進しているスウェーデンのスタートアップDoconomy(ドコノミー)が開発したCO2排出量可視化の手法を使って算出しており、1年ごとに更新する仕組み。

今後は新会社を軸に、デカボストアをより多くの企業や団体に採用してもらうよう働き掛けるとともに、デカボスコアの数値を一段と改善していくための方策のコンサルティングなども手掛けていく構え。2030年までに年間売り上げを30億円以上まで引き上げることを目標としている。

博報堂と三井物産などは同日、東京都内で新会社設立などの合同発表会を開催。新たに味の素、大日本印刷、ヤフーがデカボスコアを活用することを発表した。

味の素は、フードロスを削減できるレシピを掲載した専用ウェブサイトで、それぞれのレシピにデカボストアを添付する予定。大日本印刷は各種パッケージにデカボスコアを表示することなどを想定している。ヤフーは自社の通販サイト内に、デカボスコア付きの商品を購入できるモールを新設する計画。

発表会に出席した、CDOのトラウデン直美さんは「これからどんどんアースハックスのアイデアを出していきたい。CDOという役職はいろんな企業の中に作っていただき、各企業にアイデアを出してもらい、情報交換できるようになればすごく楽しいんじゃないか。『ベスト・デカボ・アワード』もぜひやってみたい」と語った。


発表会で撮影に応じるEarth hacksの関根CEOとトラウデン直美さん


アースハックスの活動に名を連ねる各社担当者ら

Earth hacksの関根澄人社長CEO(最高経営責任者)は「我慢ではなく、生活者や企業の『やりたい』『欲しい』をつなげていくことで、無理なく楽しい脱炭素社会を目指していきたい」と抱負を述べた。

(藤原秀行)

経営/業界動向カテゴリの最新記事