東大発スタートアップのYanekaraがコスト抑制可能なEV充電制御装置発売、日本郵便が93台導入

東大発スタートアップのYanekaraがコスト抑制可能なEV充電制御装置発売、日本郵便が93台導入

電気工事不要で既存コンセントに後付け

東京大学発のスタートアップYanekara(ヤネカラ、千葉県柏市)は7月19日、電気自動車(EV)の普通充電を低コストで遠隔制御できるEV充電コントローラー「YaneCube(ヤネキューブ)」の販売を開始したと発表した。

既設の充電コンセントに電気工事不要で設置可能な日本初のEV充電コントローラー「後付版YaneCube」と充電器を新規導入する際に壁掛けなどで設置する「新設版YaneCube」の2種類を提供する。

このうち、新設版YaneCubeは次世代自動車振興センターの充電インフラ補助金を活用することで、1台当たり初期費用税抜2900円、月額料金500円で導入できるという。

10台以上のYaneCubeの購入を希望する法人顧客を対象に、先行予約受け付けを同日開始した。EVを活用するラストワンマイル配送事業者らの需要を見込む。

Yanekaraは2022年夏に日本郵便の集配用EV車両15台の充電を遠隔で監視・コントロールすることにより、郵便局全体における電力ピークを抑制する実証実験を手掛け、年間約45万円のピークカット効果を確認。今年7月18日に、東京の銀座郵便局に93個のYaneCubeを導入し、商用では国内最大規模となるEV充電エネルギーマネジメントを開始した。

1つの拠点に複数台のEVを配備すると、EVの充電タイミングが重なることでピーク電力が増大し、電気代が高くなるという課題が発生している。また、電力インフラ全体としてもEVの充電が夕方のピーク需要と重なるタイミングで行われることで、電力の安定供給を阻害する要因となることが課題視されている。

このような課題を解決するため、EVの充電タイミングを施設や電力システムの状況に応じて最適に制御できるソリューションが求められており、経済産業省もEV充電器の遠隔制御機能義務化の検討を進めている。


ピークカットイメージ

後付版YaneCubeは、EV普通充電コンセントをクラウドから制御するEV充電コントローラー。既設の充電コンセントに対して電気工事不要で設置できる国内で唯一の製品という。

「後付け版YaneCube」に加えて、充電器を新設する事業者向けの「新設版YaneCube」も同時にサービスをローンチし、EV充電コントローラーの導入の選択肢の幅を広げた。新設版の設置には電気工事が発生する。

YaneCubeは、複数台のEVの充電を事前に設定した上限値(kW)の範囲内で制御する「上限値制御」、事前に設定した時間に充電開始時間をシフトする「スケジュール制御」が可能です。アルゴリズムはクラウドで管理しており、今後の状況に応じてアップデートが可能となり、電力市場価格に連動して制御する「市場価格連動制御」にも対応できると見込む。

EVをデマンドサイドレスポンス(DR)のリソースとして活用できるほか、充電時間や充電電力量を計測し、車両単位で充電データを集計、出力することにも対応できる。


充電制御のイメージ

Yanekaraは22年7月に業務提携契約を締結した東京センチュリーとYaneCubeの販売における協業を開始した。東京センチュリーグループの日本カーソリューションズ経由でYaneCubeを購入できる。


YaneCubeの設置イメージ(いずれもYanekara提供)

(藤原秀行)

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