2024年問題、企業の5割近くが「何をすればいいか分からない」

2024年問題、企業の5割近くが「何をすればいいか分からない」

日商調査、運賃アップや待機時間短縮などの情報が荷主に浸透せず

日本商工会議所は7月31日、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴い物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」への企業の取り組み状況に関する調査結果を公表した。

2024年問題は多くの企業が存在を認識しているものの、具体的な対応については5割近くが「何をすればいいか分からない」と回答。同問題については、運賃アップやトラックドライバーの荷待ち・荷降ろし時間短縮など、具体的に取り組むべき項目が物流業界を中心に発信されているが、荷主企業側に浸透していないことが如実に示された。

調査は今年7月、全国の商工会議所会員企業を対象に実施。1966社が回答した。

着荷主の意識の低さ目立つ

2024年問題を背景とした物流効率化の取り組み状況(全産業対象)は、「取り組みを開始」が10.1%、「取り組む予定」が15.4%で合計すると約25%に到達。しかし、46.5%は「(問題を)認識しているが、何をすればいいのか分からない」と答えた。

トータルで72.0%が2024年問題を認識しているものの、そのうち実際に何らかの取り組みをしようとしているか、実際に取り組みを始めたのは半分以下にとどまっていることが浮き彫りとなった。

「認識していない」は17.3%、「取り組む必要がない」は10.7%存在した。

企業の属性別(発荷主、着荷主など)に取り組み状況を見ると、取り組みを開始したか、取り組む予定と答えた割合の合計は「発荷主(製造業など)」が32.0%、「着荷主(小売業など)」は15.6%、「発荷主・着荷主両方(卸売業など)は31.7%、「物流事業者」は94.6%。特に小売業などの着荷主の意識が低い実態が浮き上がった。

物流効率化に向け「取り組みを開始している(予定含む)」と回答した企業の具体的な取り組み内容を選んでもらったところ(全産業、複数回答)、「適正な運賃収受・価格転嫁に向けた取引先との協議」が40.2%で最多。その後は「物流を考慮した経営戦略の策定・実行」(39.6%)、「納品リードタイムの延長、発注・受注ロットの拡大や運行計画の見直し等に向けた取引先との協議」(36.0%)、「ドライバー等の荷待ち・荷役作業等に係る時間の把握」(28.4%)、「ドライバー等の荷待ち時間の削減(バース予約システムの導入、荷さばき場の拡張等)」(20.1%)と続いた。

持続可能な物流の実現に向け「必要だと考えられること(現在課題となっていること)」(全産業、複数回答)については、「適切な運賃等の物流コストの収受(物流コストの可視化、運送契約の書面化等)」が67.1%でトップ。「物流効率化に対する取引先の理解」(56.6%)、「消費者の理解(販売価格への送料等の適切な転嫁等)」(49.3%)、「設備投資(デジタル化含む)に対する原資の確保、支援」(17.4%)、「近隣企業・同業との協業(共同配送等)」(15.3%)と続いた。

「国に期待すること(必要な支援策)」(全産業、複数回答)に関しては、「物流2024年問題とその影響に関する周知の徹底」が52.4%で首位。他には「適正な運賃の収受や価格転嫁円滑化の促進(パートナーシップ構築宣言の推進等)」(43.7%)、「『送料無料』表記の是正(物流コストの見える化)等による消費者・企業の意識変革の促進」(39.5%)、「物流効率化に向けた企業の設備投資を促すための予算・税制による支援」(35.6%)、「自動運転、ドローン物流等の物流DXの推進、社会実装化」(20.5%)が目立った。

(藤原秀行)※いずれも日商資料より引用

調査内容はコチラから(日商ホームページ)

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