伊藤忠とシノプス、食品バリューチェーン最適化の実証実験を新潟のスーパー「ウオロク」で開始

伊藤忠とシノプス、食品バリューチェーン最適化の実証実験を新潟のスーパー「ウオロク」で開始

在庫圧縮と納品リードタイム延長で2024年問題など解決図る

流通業向けのAIサービスを手掛けるシノプスは8月17日、伊藤忠商事と共同で構築を目指している、デマンド側の小売業の需要予測データを卸売業や製造業につなげてサプライチェーンを最適化し食品ロス削減や物流効率化を後押しする「食品デマンド・チェーン・マネジメント」の実証実験を、新潟で食品スーパーを43店舗展開しているウオロク(新潟市)の店舗で開始したと発表した。

シノプスと伊藤忠商事は2022年1月、「デマンド・チェーン・マネジメント プラットフォーム」構築に向けた業務提携契約書を締結した。

シノプスは1980年代から需要予測・自動発注の分野に着目し、販売実績や在庫情報、天気予報といったさまざまなデータからAIが最適な発注数を算出する需要予測型自動発注サービス「sinopsシリーズ」を開発・提供しており、食品スーパーを中心に小売業106社が導入した。

シノプスの小売業に関するノウハウと、伊藤忠の豊富なネットワークを生かし、「2024年問題」や取扱量増大に伴う物流センターのキャパシティのひっ迫に対応するため、デマンド・チェーン・マネジメントプラットフォームを早期に実用化したい考え。実証実験は今年11月までを計画している。


(シノプス提供)

ウオロクの実証実験は、物流センターの在庫圧縮と特売品の物流センターへの納品リードタイム(LT)を長期化するのが狙い。

ウオロクは新潟市内に保有している自社の物流センターの在庫圧縮による稼働効率の向上が求められており、店舗運営に必要なsinopシリーズをウオロク全店で幅広く導入している。今回はsinopsで算出した店舗の需要予測データを再活用し、物流センターの稼働効率向上を目指す。

併せて、食品バリューチェーンの最適化を目指し、特売品における納品LTを長期化させる実証実験も展開している。sinopsで特売品の需要予測を14日先まで行い、従来は数日前に確定していた卸売業への特売品の発注を、14日前に確定する。

納品LTを長期化することで、卸売業の特売期間中の追加発注の対応に向けた需要予測や在庫調整業務の負荷軽減、物流センターの過剰在庫や欠品リスクの抑制が期待できるとみている。

データによる机上検証では、sinopsが算出した予測値とPOS(販売時点情報管理)データの販売実績を比較したところ、予測誤差は問題なく実運用できるレベルにあることを確認したという。

さらに、ウオロクの発注担当者が起案した発注数とsinopsが算出した発注数の比較では、sinopsで発注した場合の方が特売期間中の卸売業への追加発注を抑制できるというシミュレーション結果も出ている。

本実証実験のほか、他の小売業でも同様の実証実験を行い、在庫圧縮率や納品LT長期化における物流改善の効果を現場検証する。

(藤原秀行)

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