災害時も安定した物流サービス提供目指す
NIPPON EXPRESSホールディングスは9月5日、傘下の日本通運がJR貨物と連携し、鉄道貨物が災害で不通となった場合、トラック輸送で代替する取り組みを開始したと発表した。
豪雨災害が頻発している山陽線区間が対象。広島県大竹市に中継拠点(日本通運広島支店大竹営業課、NX大竹)を設定し、岡山貨物ターミナル駅から北九州エリアの各駅を、トラックで代替輸送する。
スキーム概念図
NX大竹での作業の様子(いずれもプレスリリースより引用)
中国地方では、2018年の西日本豪雨や2021年の秋雨前線停滞による大雨災害、今年7月に起きた豪雨災害など、人々の生命・暮らしに甚大な被害をもたらす大規模な災害が頻発し、鉄道輸送も本州と九州を結ぶ山陽線が長期間にわたり遮断されたため、日通とJR貨物が組み、バックアップ体制の構築に乗り出した。
広島県大竹市に中継拠点を設置することで、岡山県と北九州エリア間の山陽線・鹿児島線をカバーし、災害による鉄道不通が発生しても、速やかなバックアップ輸送が可能になると想定。岡山貨物ターミナル駅と北九州エリアの3駅(福岡・鳥栖・北九州の各貨物ターミナル駅)から出発したコンテナ専用トラックが、NX大竹でそれぞれのコンテナを載せ替え、輸送する。
トラックの日帰り輸送が可能となり、日通は「2024年問題」にも対応できると見込む。ドライバーの宿泊手配やトラックの駐車スペースの確保などが不要なため、バックアップ輸送の初動を迅速化できるとみている。
今年7月の豪雨災害で山陽線が一時不通(7月8~20日、厚狭駅から小野田駅間)となった際、初めてバックアップ輸送スキームを使い、7月12~21日間に鉄道コンテナ74個を輸送した。
今後は岡山県から北九州エリアの区間に続き、関東から関西の区間においても、中継拠点を設定したバックアップ輸送スキームの構築を目指す。
(藤原秀行)