テラドローン、インドネシアとマレーシアでドローン使った農業事業に本格参入

テラドローン、インドネシアとマレーシアでドローン使った農業事業に本格参入

現地企業の事業買収、新法人設立も

テラドローンは9月21日、インドネシアとマレーシアで農業ドローン市場に本格参入すると発表した。

子会社でインドネシアの現地法人Terra Drone Indonesiaを通じ、同国企業のAvirtech(アヴィールテック)からドローンを使った農薬散布事業を買収。併せて、マレーシアに新たな現地法人Terra Drone Agriを設立する。農業の省力化・生産性向上を後押ししていきたい考え。

グローバルイノベーションによると、2030年に農業用ドローンの世界市場は最大142億9020万ドル(約2兆900億円)に成長する見込み。テラドローンは農業ドローンが精密な作物管理や高効率な生産手法を実現する上で空のインフラ構築の重要な分野となると判断。海外展開を加速させる。

インドネシアとマレーシアは、食品や化粧品などに広く使われている植物油「パーム油」の主要な生産地として知られ、世界の生産量の約8割を占めている。近年は森林伐採や生態系への影響、温室効果ガスの排出といった環境負荷が懸念されている上、労働環境が厳しく働き手が不足。両国のパーム油産業は深刻な状況に直面している。

テラドローンが事業譲受したAvirtechは、インドネシアとマレーシアで2017年からドローンを用いたパーム油農園の農薬散布事業を展開。世界初の高精度な農薬散布を可能にする技術を有し、ドローン農薬散布事業のリーディングカンパニーとしての地位を確立している。

累計20万ha以上の面積で、1日当たり最大4000回の飛行を実施。高精度の農薬散布で最大30%のコスト削減を実現し、150機以上のドローンを普及させてきた。

Avirtechはドローン活用でパーム油産業の労働力不足の解消や作業員の安全確保、生産性の向上に寄与。今後も課題解消やサステナビリティに配慮したパーム油の生産支援につながると期待されている。同社の基盤を活用し、ドローンを使った農業事業を拡大させていきたい考え。

テラドローンは今後、インドネシアとマレーシアにおけるドローンを活用した農薬散布事業の拡大を最優先に実施。特に、効率的なパーム油の栽培支援に注力し、持続可能な農業の実現を目指す。新事業を展開する中で知見を蓄積し、顧客の具体的なニーズをより深く把握して、日本を含む海外での展開も検討していく構え。


ドローンによる農薬散布のイメージ(テラドローン提供)

(藤原秀行)

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