「男性育休」言及の求人割合、介護やドライバーなど人手不足強い職種で高い傾向

「男性育休」言及の求人割合、介護やドライバーなど人手不足強い職種で高い傾向

Indeed Japan調査結果、水準自体はまだ1%に届かず

求人検索サイト「Indeed(インディード)」を展開する米Indeedの日本法人Indeed Japanは9月21日、2022年10月の改正育児・介護休業法施行に基づく「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度創設から1年が経過するのを前に、「男性育休」に言及する日本の求人動向の調査結果を公表した。

日本のIndeedで掲載しているもののうち、今年7月時点の「男性育休」に言及している求人割合(3カ月移動平均)について、

①2021年6月:「改正育児・介護休業法」成立
②2022年10月:「産後パパ育休」制度創設
③2023年4月:男性の育児休業等取得状況の公表義務化

――の3点を基点として調べたところ、23年7月時点では①の時点から2.4倍増えた。雇用形態別では、正社員以外よりも正社員の方がより「男性育休」に言及する求人割合が高まっており、①から今年7月にかけて2.3倍に達していた。

職種別では、介護やドライバー、看護など、人手不足感の強い職種の求人で「男性育休」に言及した求人割合が高くなっていたことが分かった。Indeed Japanは「採用企業において『男性育休』取得促進に向けた取り組みが広がり、それを求人上で求職者にアピールする動きが拡大している」との見方を示した。

調査は、求人の中で「男性」および「パパ」と「育休」「育児休業」「育児休暇」を組み合わせたキーワード、もしくは「パパ休暇」のいずれかの文言を含んでいる場合を「言及あり」としてカウントした。(例:「男性育休」「男性の育児休業」「パパ育休」「パパも育児休暇」など)

日本のIndeed上に掲載された求人のうち、「育休」に言及する求人割合は①時点の4.62%から今年7月は25.06%と5.4倍に拡大。Indeed Japanは改正育児・介護休業法の成立以降、段階的な施行に伴い、求人で「男性育休」に言及する採用企業が増加していると分析した。

ただ、求人全体の中で「男性育休」に言及している割合自体は1%を大きく下回っており、まだまだ広く普及し始めたとは言い難い状況にある。政府や民間企業には「男性育休」の取得をごく普通のイベントとするため、周知徹底などの面で一層の取り組みが求められる。

「正社員以外」の低さ目立つ

今年4月以降、正社員以外の育児休業取得要件が緩和され、正社員と同様の育休取得条件となったが、調査の回答内容を雇用形態別に見ると、正社員と正社員以外それぞれの求人全体に占める「男性育休」に言及する求人割合は、今年7月時点では正社員が0.69%、正社員以外は0.16%となり、正社員以外の低さが目立った。

Indeedで定めている職種カテゴリーごとに、「男性育休」に言及した求人割合を確認、比較したところ、今年7月時点では「介護」が最も多く1.41%で、次いで「ドライバー」の1.15%、「看護」の1.11%となった。

Indeed Japanは「人手不足感の強い介護・看護職、ドライバー職の採用において『男性育休』の取得しやすさを求人でも訴求することで、採用企業が求職者にワーク・ライフ・バランスを取りやすい職場環境をアピールするなど、求人の魅力付けをしていると考えられる」と推察した。

Indeed Japanエコノミストの青木雄介氏は調査結果を踏まえ「社会的に男性育休の取得促進の動きが進む中で、採用企業においても男性従業員が育児休業を取得しやすい環境を作り、それを求職者に発信することが、今後より採用における競争力につながっていく」と展望した。

(藤原秀行)※いずれもIndeed Japan提供

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