日立と三井E&S、三井倉庫がAI活用した港湾ターミナル運営効率化技術を共同開発へ  

日立と三井E&S、三井倉庫がAI活用した港湾ターミナル運営効率化技術を共同開発へ  

国交省から受託、コンテナ配置や荷役作業手順の計画作成目指す

日立製作所と三井E&S、三井倉庫の3社は9月27日、港湾でAIを活用し、コンテナ配置や荷役作業手順の計画を作成、ターミナル運営を効率化する技術の開発に共同で取り組むと発表した。

国土交通省から「令和5年度港湾技術開発制度における技術開発業務」を受託した。三井倉庫のコンテナターミナル運営のノウハウを生かしながら、コンテナ貨物の特性などのデータを基に日立が保有するAIでコンテナの搬出日予測、コンテナ配置計画と荷役作業手順計画を立案し、三井E&Sが開発する荷役シミュレータを用いて各計画の効率性を検証・評価する。

3社は2025年までに新技術を開発し、国内の港湾を中心に実用化と導入支援を進めていきたい考え。


最適化技術の概念図

日本の港湾は本船からコンテナを荷揚げして配置する際、限りある用地面積を有効活用するため、コンテナの積段数が高くなる傾向にある。一般的にコンテナは、荷繰りの回数が少なくなるよう、搬出されるタイミングが早いものをなるべく上段に、搬出までに時間を要すると見込まれるものは下段に配置される。

現在、港湾におけるコンテナの配置計画や荷役作業手順計画は熟練の計画立案者(プランナー)の属人的な経験と知見でまとめられている。しかし、増大する貨物量と、刻々と変化するコンテナ貨物情報による計画立案の複雑化への対応として、デジタル技術を活用した作業計画立案の高度化が不可欠となっているため、新技術の開発に着手することにした。

TOS(港湾における貨物や荷役作業の管理のための情報システム)の各種データから、AIを活用してコンテナの搬出日を予測した上で、最適な配置計画と作業手順計画を立案。その計画を基に並行して開発する荷役シミュレータで仮想空間での荷役作業を行い、荷繰り回数や外来トレーラーの待機時間の削減量など、効率性の定量評価を実施する。さらに、評価に基づいてAIのパラメータを変更し、計画の精度を高めていくことを想定している。


荷役シミュレータ画面イメージ

日立は先進デジタル技術を駆使して顧客企業にサプライチェーン運営効率化などのソリューションを提供する事業「Lumada(ルマーダ)」のソリューションを活用し、本技術開発ではコンテナの搬出日予測、コンテナ配置計画、荷役作業手順計画を立案するための複数のAIと数理最適化技術の提供、および立案した計画と荷役シミュレータを連携させるソフトウェアの開発を行うとともに、本技術開発の代表を務める。

三井E&Sは国内TOSマーケットでトップシェアを持つ製品「CTMS」や自動化コンテナターミナルを構成する製品、技術を保有しており、本技術開発ではコンテナ荷役に関するTOS機能改修と荷役シミュレーションに関連する業務を担当する。

三井倉庫は国内主要港でコンテナターミナルの運営ノウハウを長年培ってきており、プランナーの熟練した経験と知見、実証現場および本技術開発に資するデータを蓄積・提供する。

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

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