【現地取材・動画】アマゾンが神奈川・相模原の物流センター内に災害支援物資拠点開設、東日本初

【現地取材・動画】アマゾンが神奈川・相模原の物流センター内に災害支援物資拠点開設、東日本初

1.5万点の生活必需品備蓄、被災地へ迅速に配送

アマゾンジャパンは9月28日、神奈川県相模原市の物流拠点「相模原フルフィルメントセンター(FC)」内に設けた災害救援のための専用施設「Disaster Relief Hub(ディザスター・リリーフ・ハブ、DRH)」をメディアに公開した。

DRHは自然災害で被災した人々へ迅速かつ効率的に支援物資を届けることを目的としており、日用品などを大量に備蓄している。物流拠点内に併設することで、在庫している支援物資を梱包し、アマゾンの物流ネットワークなどに乗せて被災地へ円滑に送り込める。

アマゾンが日本国内にDRHを設けるのは、兵庫県尼崎市で今年5月に開設した「尼崎FC」に次いで2カ所目となり、東日本エリアでは初めて。東西2カ所の体制にし、災害対応を拡充する。

昨今、大規模災害が続発し、日ごろから有事に備えた物流の体制を準備しておく重要性が高まっている。DRHの存在は日本の物流業界にとっても参考になりそうだ。  

アマゾンはDRHの設置と併せて、地元の相模原市と災害時の備蓄配送などの面で連携を強化することを盛り込んだ覚書を締結した。


DRHが入る「相模原FC」


覚書を締結したアマゾンジャパン相模原FCサイトリードの瀧川匠氏(左)と相模原市の本村賢太郎市長


救援物資が多数積み上げられたDRHの内部

必要と判断すれば72時間以内に配達

相模原市のDRHは相模原FC1階フロアの一角に設置。災害支援を専門とする公益社団法人Civic Force(シビックフォース)、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン、相模原市役所などが運営に協力し、地域一体となって災害時の迅速な復旧・復興を後押しできるようにする。

DRHにはモバイルバッテリーや水を使わなくても髪を洗えるドライシャンプーなど約50種類、合計約1万5000点の生活必需品を保管する。各支援物資は過去に被災した人が必要と感じたものの意見を参考にして選定した。


救援物資

アマゾンは地震や台風、豪雨などが起きると、災害支援を専門とするパートナー団体からの情報を基に、支援の必要性を見極め、必要と判断すれば支援要請から72時間以内に被災地へ支援物資を配達している。その際、支援物資の供給拠点としてDRHを活用する。

DHRはアマゾンがグローバルで展開している災害支援プログラム。最近ではトルコ・シリア大地震やオーストラリアの大規模森林火災、ハワイ・マウイ島の山火事などが起きた際、自然災害の影響を受けた地域社会を支援している。これまでに世界中で110件以上、2300万アイテム超の支援物資を寄付してきた。

日本でも今年8月、台風6号(カーヌン)通過後の沖縄県で、がれきが散乱した市街地やビーチの清掃活動を支援するため、支援物資を届けた。また、沖縄県豊見城市のデリバリーステーションからも、ボランティア活動を支援する豊見城市役所に直接、支援物資を届けたという。

本村賢太郎相模原市長は9月28日、相模原のDRH公開に際し、現地でメディアに対し「平時の定期的な意見交換や合同訓練の実施などを通じ、本市の防災対策をより実効性のある取り組みとして進化させるとともに、指定都市としての広域的な災害支援の役割を果たしていく」と強調した。

アマゾンジャパン相模原FCサイトリードの瀧川匠氏は「東日本エリアでの大規模自然災害発生時にこの相模原FCが真っ先に対応する拠点となることに、身が引き締まる思いだ。災害支援にフォーカスしたボランティア活動の訓練を相模原市と実施していく計画を進めていきたい」との考えを示した。

Civic Force代表理事の根木佳織氏は「アマゾンとの取り組みを通じて、支援物資の迅速な提供をはじめ、災害時においても女性や子どもなどあらゆる人が安心して過ごせる環境を目指す」との意向を表明。ピースウィンズ・ジャパン企業連携担当の李京洙氏は「今回、東日本にも拠点が増えることによって、現場での支援活動がさらに機能的になることを期待している」と語った。

この日は、本村市長らが実際に物資を出荷する際の梱包作業を体験した。


撮影に応じる関係者ら

(安藤照乃、藤原秀行)

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