千葉・柏、2030年ごろの実用化目指す
東京大学と千葉県柏市、千葉大学、ブリヂストン、日本精工などは10月3日、国内で初めて、公道を走行中のEV(電気自動車)にワイヤレスで自動的に給電できる技術の実証実験を同市内で開始すると発表した。
道路に埋設した専用装置の上をEVが走ると、EVの車体下部に取り付けた2つの装置が電気を受け取り、充電する。専用装置はスマートフォンのワイヤレス充電と同じ仕組みを活用している。技術が実用化すれば、EVに搭載するバッテリーの容量を減らせるため、EVの車両価格低減などで普及に弾みが付くことが期待される。
実験に用いるのはEVのバンと、PHV(プラグインハイブリッド)のSUV(スポーツタイプ多目的車)各1台。専用装置はEVが減速しやすいよう、つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅近くの信号機手前に設置しており、EVの接近を検知した時だけ電気を発する。EVが専用装置の上に1秒間停止すると100m程度、10秒間で1km程度それぞれ走行できる分の充電が可能という。
実験に用いるPHVのSUV
車両下部に搭載した充電設備
実験にはローム、東洋電機製造、小野測器、デンソー、三井不動産、SWCC、カーメイトも参加。東京大などは2025年3月までの約1年半継続し、成果と課題を踏まえ、30年ごろの実用化を目指す。
柏の葉キャンパス駅近くの施設で同日開催した出発式で、東京大の藤本博志教授は「夢のような技術に聞こえるだろうが、企業などと協力して育て上げていきたい。脱炭素社会の実現へ着実に実験を進める」と強調した。
出発式の際、実験に用いるEVバン前で撮影に応じる(左から)東京大学大学院新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻の大崎博之専攻長と藤本博志教授、柏市の太田和美市長、国土交通省関東地方整備局千葉国道事務所の藤井和久所長
(藤原秀行)