火力発電所へ輸送、CO2排出を3割削減見込む
日本郵船と九州電力は10月13日、LNG(液化天然ガス)を燃料とする世界初のパナマックス型石炭専用船が10月2日に竣工し、運航を開始したと発表した。
大島造船所の香焼(こうやぎ)工場(長崎市)で6月に命名式を開催し、「松陽(しょうよう)」と命名した。
本船は日本郵船が運航を担当し、九州電力の石炭火力発電所向けに海外から石炭を輸送する。LNG燃料を使用することで、従来の船舶燃料油に比べて硫黄酸化物(SOx)は約100%、窒素酸化物(NOx)は約80%、二酸化炭素(CO2)は約30%の排出削減を見込む。海運領域の脱炭素が強く求められているのに対応する。
「松陽」
命名式
10月2日に香焼工場を出港した後、10月12日に戸畑港(北九州市)で陸上のLNG出荷設備から本船へ直接燃料を供給する「Shore to Ship方式」でバンカリングを完了した。Shore to Shipでのバンカリングは、外航LNG燃料船としては日本で初めてという。
本船はShore to Shipと、LNGバンカリング船によってバンカリングする「Ship to Ship方式」の両方に対応している。2024年3月以降は九州・瀬戸内を拠点として新たに竣工するLNGバンカリング船からの燃料供給も予定している。
陸上出荷設備からのバンカリングの様子(いずれも日本郵船提供)
本船概要
船名 :松陽
運航会社 :日本郵船株式会社
全長 :235.0メートル
全幅 :38.0メートル
載貨重量トン数 :95,233㌧
建造年 :2023年
造船所 :株式会社大島造船所
船籍港 :松浦(長崎県)
(藤原秀行)