ブロックチェーンとデジタル通貨など活用、24年内の実用化目指す
貿易情報の一元管理システムを手掛けるSTANDAGE(スタンデージ)は10月30日、基幹事業として取り組むブロックチェーンとステーブルコインを活用した新貿易決済システムについて、ブロックチェーンベースの文書・ビジネスデータ転送ソリューションを提供するスロベニアのCargoXと提携したと発表した。
スタンデージの貿易決済システムにCargoXのブロックチェーン上で電子船荷証券(eBL)の受け渡しができるプラットフォームを組み合わせ、世界で初めて、貿易決済における「代金」と「商品」の同時交換を可能にする。
両社は本システムのプロトタイプを2023年末までに完成させる予定で、国内外で実証を重ねた後、24年内の実用化に向け連携を図る。
(STANDAGE提供)
23年6月に改正資金決済法が施行され、日本は世界に先駆けて国産ステーブルコインの発行が可能となった。国内の主要銀行や信託銀行が国産ステーブルコインの発行に向けて取り組みを進めており、これまで個人の投資目的で使われることがほとんどだった仮想通貨のビジネスへの活用、特に取引高の大きい貿易決済への活用に注目が集まっている。
原本性重視の紙ベース処理がいまだに続いている貿易業務の中で、商品の所有権を証明する船荷証券(BL)の電子化・国内実用化も着々と進んでいる。
eBLの日本での実用化は25年以降といわれている一方、デジタル・コンテナ・シッピング協会(DCSA)の指導の下、今年2月には主要コンテナ船社9社が30年までにeBLを100%活用する方針を打ち出している。
CargoXはブロックチェーン上におけるeBLの発行を手掛けており、Japan P&I Club(日本船主責任相互保険組合)に認められているeBL発行プラットフォーマーはCargoXを含め全世界で6社のみ。そのうちブロックチェーンをベースとしているのがCargoXなど3社。
スタンデージとCargoXのシステムは、それぞれイーサリアムという同じブロックチェーンを使用している。両社のシステムが非常に円滑に連携できることや、100年来変わらないといわれる貿易業界に変革を起こしたいという共通の思いを持っていることなどから、CargoXとの提携に踏み切った。
スタンデージとCargoXが提携し、ステーブルコインを活用したスタンデージの貿易決済システムと、同じくブロックチェーン上でeBLの受け渡しができるCargoXのプラットフォームを組み合わせれば、貿易における「代金(ステーブルコイン)」と「商品(eBL)」の同時交換が、完全に仲介者不在かつ改ざん不可能な状態で実現すると見込む。
(藤原秀行)