【独自取材】エフピコグループが追究する次世代物流(後編)

【独自取材】エフピコグループが追究する次世代物流(後編)

庫内でAGVが製品搬送、パレット積みで積み降ろし時間大幅短縮

【独自取材】エフピコグループが追究する次世代物流(前編)

食品トレー容器大手のエフピコは3月27~29日、東京・有明の東京ビッグサイトで開いた展示会「エフピコフェア2019~未来のための原点回帰~」で、高機能な新製品や売り場づくりのノウハウなどに加え、グループで積極的に展開している物流改革についても来場者へ概要を大々的に公開した。

2回目は、物流子会社のエフピコ物流などが中心となって進めている自動化や輸送効率化に焦点を当て、グループの取り組みと成果を紹介する。


物流改革の取り組みを説明したブース

“攻めのIT投資”で生産性向上など成果

会場内に設けた物流専門のブースでは、1回目で取り上げた「若いアイデアで革新する発表会」に加え、「従来『むずかしい』と思っていたことを『発想を転換』してチャレンジする」「強固な危機管理体制」と大きく掲示されたテーマが来場者の目を引いていた。このうち、前者は倉庫オペレーションの自動化・無人化と、パレタイズの推進を柱に据えている。

エフピコ物流はかねて積極的にITへ投資している。“攻めの投資”を念頭に置き、商品配送の計画立案や配送状況確認に独自システムを取り入れて配車の精度を高め、納品に要する時間を短縮したり、物流センターに音声ピッキングシステムを導入して年末の繁忙期の出荷もパートタイマーの数を大幅に増やさず乗り切ったりと、随所で成果を積み重ねてきた。

しかし、近年物流現場に押し寄せる人手不足の波は同社も無視できない深刻なものとなってきた。そこで2017年の後半ごろから次の段階として、物流センターの庫内作業自動化・省人化への取り組みを深めている。

現状は全国のセンター5カ所でAGV(無人搬送車)を導入済みだ。入荷した製品はまずフォークリフトでバーチレーター(垂直搬送機)に乗せて格納エリアへ運び、フォークリフトで降ろした後、そこから指定の格納棚へ製品を搬送する部分をAGVが担っている。

同様に出荷フローの中で、以前はピッキングした製品をフォークリフトでソーター(自動仕分け機)まで届けていた過程もAGVがソーターの投入口まで運ぶ流れに変更した。これまでのフォークリフトでは1パレットしか運べなかったが、AGVは2パレットを牽引できるため、生産性が向上。ブースではあるセンターの事例として、1人当たりのフォークリフトによる搬送作業がそれまでの1日当たり180回からAGV活用で3分の1の60回まで減らせたことを紹介していた。


ブースで紹介した庫内の自動化・無人化の流れ

ブースで紹介したAGVによる搬送作業の様子

エフピコ物流の小泉哲社長は「当初は現場スタッフの間にフォークリフトを使って自分で製品搬送することへのこだわりが強かったが、機械と共存した方が楽で速いことを繰り返し説明して意識を変えてもらうことで稼働率が上がり、今ではもっとAGVの台数を増やしてほしいとの声も上がるようになった。AGVが作業を担うことで他の業務に貴重なスタッフを回すことができる」と現場で機械化の意義への理解が広まっていることに笑顔を見せる。

今はさらに自動化・省人化を図るため、自動の無人フォークリフトを導入する方向で検討しているという。実際の運用開始は早ければ2020年となる見込みだ。加えて、ソーターへ製品を投入する過程も自動化できないかを探っている。

1時間半のスピードアップに成功

小泉社長らはパレットを活用したトラックの積載効率向上にもトライしている。食品トレーはそもそもかさばる商品のため、段ボール箱も標準的なものより大きくなりがちだ。広く使われている1100×1100サイズのパレットでは隙間が空いてしまい積載効率が悪かった。旧来はドライバーがパレットを使わず積み込んでおり、時間が掛かっていた。

そこで大型の段ボールでも対応可能な1500×1500サイズのパレットを広く活用し、隙間には手積みすることでトラックの荷台を埋めるやり方に変更。その結果、関東配送センター(茨城県八千代町)から八王子配送センター(東京都八王子市)への横持ちの際、従来は積み込みに70分以上、荷降ろしにも60分以上要していたが、パレタイズで積み込みは20分余り、荷降ろしも20分程度までそれぞれ短縮。1回の運行につきトータルで1時間半もスピードアップすることに成功している。

大型トラックへの搭載個数はパレット輸送前が220ケースなのに対し、パレット輸送後は210ケースとなり10ケース分減ったが、その分トラックの回転をアップできているため問題ないという。小泉社長は「1500サイズのパレットにうまく搭載できるよう、生産工程の部門と連携し、段ボール自体のサイズを見直すことにも着手している。できるところから着実に進めていきたい」とパレット輸送の定着と拡大への意気込みを明かす。


ブースでパレット積みの取り組みと成果を説明したパネル

小泉社長

北海道胆振東部地震で通常通り出荷

このほか、危機管理の一環として近年夏場に見舞われる猛暑を乗り越えるため、倉庫オペレーションの環境改善も推進。通気性に優れたメッシュのユニフォームを採用したり、庫内を冷却するためのファンを活用したり、積み込みバースにスポットクーラーを設置して暑さを緩和したりと細やかな配慮を重ねている。

災害対応でも、国内の全倉庫に非常用発電システムを設置し、地震や台風などに襲われても72時間は発電が可能にしており、昨年9月の北海道胆振東部地震では北海道全域が停電となったが、同社はシステムが作動、通常通りの出荷を続けられたという。災害が頻発する中、エフピコの意欲的なBCP対応は他の業界からも注目を集めそうだ。

(藤原秀行)

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