「切迫感まだ薄い」と指摘
トランコムの神野泰弘社長は10月31日、東京都内で開催した決算説明会で、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴い物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」について、現時点で自社の事業としては対応が進んでおり、大きな混乱は見られないとの認識を明らかにする一方、荷主企業の間ではまだ対応が十分講じられていないとの見方を示した。
その上で、3PLサービスなどを通じ、荷主サイドの物流効率化を後押ししていくことにあらためて強い決意を見せた。
神野社長は、主力の物流情報サービス(求貨求車)事業で、取り扱うマッチング案件の中で2024年問題が影響してくる可能性が大きい長距離の案件が占める割合が1割弱にとどまっていることなどを踏まえ「事業に与える影響は軽微とみている」と説明。「長距離に関してはこの後、世の中がどうなっていくか柔軟に見極めながら対応していく」と述べた。
3PLサービスについては「ほとんどが荷主企業との契約になっており、自動化が進んでいるところは進んでいる。荷役作業の軽減を図っているところもある」と解説した。
同時に、「荷主側の切迫感はまだまだ薄い。手を打たれていない会社はまだたくさんある。長距離(の輸送)を本当にどうするのか、という思いはある」と言明。協力物流事業者とも連携しながら荷主の2024年問題対応を引き続き後押ししていきたいとの思いをにじませた。
近年、トランコムとして様々な企業に出資していることについて問われたのに対し、神野社長は「出資したままになっているところがある。赤字でも可能性があるなら続ける、黒字でも可能性がないならやめるというように、ちゃんとシナジーが出るような動きをしているか、この半年で確認していきたい」との考えを明かした。
(藤原秀行)