全国初の「レベル4」自動運転接触事故、障害物検知用カメラが自転車認識せず

全国初の「レベル4」自動運転接触事故、障害物検知用カメラが自転車認識せず

福井・永平寺町が調査報告書、再発防止策講じ来春にも運行再開目指す

福井県永平寺町で今年10月、国内で初めて公道で「レベル4」(特定の条件下でシステムが操縦を全て担う)の自動運転をしていた車両が、道端に止まっていた自転車と接触した事故に関し、同町は11月10日、調査報告書を公表した。

この中で、車両に搭載していた障害物検知用のカメラが自転車を認識できなかったことなどを指摘。再発防止のため、無人の自転車の画像をカメラに追加学習させ、前方の障害物の認識性能を高めることなどを図ると説明している。

町は冬季の運休期間が終わる2024年3月以降、早期に運行を再開したい考えだ。


自動運転に投入している車両(経済産業省ホームページより引用)

事故は町内を走行していた自動運転車両の前方バンパーの左側が道端の自転車の右側ペダルと接触、バンパーにある衝突検知スイッチが作動し、自動で緊急停止した。当時、車両には県内在住の70歳代の男性4人が乗っていたが、けがはなかった。自転車と車両のいずれも目に見えるような損傷はなかった。

報告書は、事故があった場所は車両がすれ違えるよう待避所として道路幅を広げているところで、当時は車両がすれ違い待避所に差し掛かってスピードを時速約12kmから6kmまで減速。自転車の持ち主が進行方向の左側で休憩していたのを検知し、さらにスピードを落とした。

車両は前方カメラとミリ波レーダー、超音波センサーを装備しているが、事故の際はカメラが自転車の真後ろしか捉えておらず、自転車として認識するための面積が小さかったため把握できなかったと分析。また、センサーは自転車を検知していたが、現場付近は自動運転車両がすれ違うため、カメラによる検知を優先していたことも影響したとの見方を示した。

その上で「最小限の被害で収まっており、一定の安全確保は成されていたと考えるが、さらなる安全性向上のため、対策を検討する」と表明。自転車の追加学習に加え、センサーやレーダーが接触する可能性がある物体として検知した障害物に対しては、画像認識と整合しなくても自動ブレーキをかけるよう制御判断を強化することや、車両走行ルートに注意喚起の看板を増設することなどを列挙している。


自転車の右ペダルと自動運転車両のバンパーの接触状況再現写真(自転車は接触したものと異なる)(調査報告書より引用)


事故発生場所(調査報告書より引用)

(藤原秀行)

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