業界団体トップとして環境対応などに強いリーダーシップ発揮と評価
日本物流記者会は12月12日、物流分野で高い功績を残した個人を表彰する第9回「物流人間大賞」に、商船三井の池田潤一郎会長を選んだと発表した。海運大手トップ経験者が選考されたのは第3回の日本郵船・工藤泰三会長(当時)以来、2人目。
池田氏は1979年に東京大学を卒業後、大阪商船三井船舶(現商船三井)に入社。2015年6月から社長、21年4月から会長を勤めた。今年1月に代表権のない会長(現職)となった。併せて、21年6月から2年間、日本物流団体連合会(物流連)会長と日本船主協会会長に就いた。
池田氏(右)と日本物流記者会・熊木茂夫会長(通運情報社社長)(同記者会提供)
記者会は授賞理由として「長年、海運界のリーダーの1人として、経営を通じて海運業の国際競争力強化に尽力した。日本船主協会の会長として、新型コロナウイルス禍という厳しい環境の中で、日本海運業界の『2050年GHG(温室効果ガス)ネットゼロ』を宣言するなど、最大の課題である環境対応において強いリーダーシップを発揮した。物流連会長として、物流標準化の重要性を訴えるなど『2024年問題』を控えた物流業界の情報発信に大きな功績を残した」と説明している。
池田氏は受賞を受け、談話を発表。「日本船主協会、物流連の会長に就任した際はいまだコロナによる物流混乱が続く中であったが、社会のインフラである物流を支えてくれた業界の皆さまに感謝申し上げたい」と謝意を表明した。
併せて、「2024年問題、脱炭素化、効率化など物流業界が直面している課題は多様にあるが、対応すべき課題が数多くあるということは、より良い方向に変化していくチャンスが転がっているとも捉えられ、物流業界が一皮むける契機になると考えている。物流業界とその重要性の認知度を上げ、物流業界関係者のみならず、消費者、荷主企業、政府なども巻き込みながら業界がさらに進展していくことを期待している」とエールを送った。
物流人間大賞は2015年度にスタート。これまでに日本通運の川合正矩会長兼全国通運連盟会長(当時)らが選ばれている。前回の第8回は日通学園理事長で政府の審議会メンバーなど要職を歴任した野尻俊明氏が学識者として初めて選出された。
(藤原秀行)