JALとKDDIスマートドローン、物流などのドローン活用促進へ業務・資本提携

JALとKDDIスマートドローン、物流などのドローン活用促進へ業務・資本提携

「レベル4」解禁や「レベル3.5」展開にらみ、遠隔運航管理システム構築など図る

日本航空(JAL)とKDDI、KDDIスマートドローンは12月14日、JALとKDDIスマートドローンがドローン関連事業の連携強化へ11月28日付で業務・資本提携したと発表した。具体的な出資額などは開示していない。

KDDIスマートドローンにJALから社員を出向させるほか、社外取締役も派遣。JALが得意とする航空機の安全運航などに関する知識やノウハウと、KDDIグループが強みを持つ高速無線通信やドローンの運航管理システム開発・運営などの技術力を組み合わせ、物流やインフラ点検、監視などの領域でのドローン活用をより強力に後押ししていきたい考え。

政府は昨年12月、改正航空法に基づき、有人地帯上空を補助者なしでドローンが目視外飛行する「レベル4」を解禁。さらに、無人地帯上空で同じくドローンが目視外飛行する「レベル3」について、ドローンにカメラを搭載してリアルタイムで地上の様子を監視できるようにすることなどを条件に、道路や線路など人が通る可能性のある場所の上空を補助者なしでも一時停止せず飛行できるよう規制緩和する「レベル3.5」の本格展開も準備している。

JALとKDDIスマートドローンは昨年2月、ドローンの社会インフラ化に向け、運航管理の体制構築やビジネスモデルの共同検討に関する基本合意書を締結。鹿児島県の奄美群島でドローン配送の実装を図ったり、東京都内でレベル4飛行実現のための実証実験を展開したりと共同で取り組みを進めている。

今後、ドローン利用の需要がさらに増えると見込まれる中、目視外飛行や1人の操縦者が複数のドローンを運航する「1対多運航」など、より高度なドローン活用を、適切な安全管理やオペレーション手法の下、実用化していくことが強く求められるとみて、協力関係をさらに強めることにした。


提携のイメージ(プレスリリースより引用)

JALとKDDIスマートドローンは提携により、ドローンの遠隔運航や空域管理に関わるシステム・サービスの構築など、より効率的かつ安全にドローンを運航できる環境の実現を目指す。JALが持つ地方自治体への航空関連商品販売のチャネルも積極的に活用し、人口減少に悩む地方自治体にドローン利用を働き掛けていくことを想定している。

JALとKDDIスマートドローンは2024年度内にドローン運航者を支援するソリューション・サービスを提供し、日本全国の企業や自治体が、高度なドローン活用をより簡易に導入できる礎にしたい考えだ。

KDDIスマートドローンはセイノーホールディングス(HD)やエアロネクスト、NEXT DELIVERYと組み、ドローンなどを使って地方の物流ネットワーク維持を図る新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」の社会実装を図っている。今後はJALを通じて地方自治体へのドローン活用提案をさらに拡充していくことを念頭に置いている。

オンラインで12月14日に記者会見したKDDIスマートドローンの博野雅文社長は「両社の協働でドローンのユースケースは物流や監視など、さらに広がると考えているし、われわれ自身がこの領域をしっかり開拓していきたい」と決意を表明。

JALの村越仁エアモビリティ創造部長は「各自治体や事業者の方々からご相談を多く頂戴している。われわれ単独では成し得なかったことを、今後KDDIグループとの枠組みの中で、しっかりとご期待に応える体制ができた」と語った。


会見するJAL・村越氏(左)とKDDIスマートドローン・博野氏(オンライン会見画面をキャプチャー)

(藤原秀行)

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