アスクル、ギークプラスの新ピッキング支援システム「PopPick」318台を関西拠点に導入決定

アスクル、ギークプラスの新ピッキング支援システム「PopPick」318台を関西拠点に導入決定

保管効率2倍でロングテール品拡充、生産性は3.8倍アップ見込む

アスクルは12月15日、大阪府吹田市の自社物流拠点「ASKUL Value Center関西(AVC関西)」に12月21日、ギークプラスの新たなピッキング支援システム「PopPick(ポップピック)」を318台導入し、約7割の246台が稼働を開始すると発表した。残りは第2期として2024年春に稼働させる予定。

PopPickは棚を持ち上げてピッキング作業エリアまで運ぶGTP型AGV(無人搬送ロボット)を使ったソリューション設備。在庫商品の入った折り畳みコンテナを収納した棚をPopPickステーションまで搬送し、作業員はPopPickステーションが自動で搬送するコンテナ商品ピッキング作業を定点で行える。

従来のGTPソリューションと比較して、同面積当たりの商品保管効率を高め、より多くの商品アイテム数を在庫できるようになるため、アスクルが中期経営計画の重要施策に掲げている「品そろえ拡大」に対応するため導入を決めた。

ロングテール品まで品ぞろえを拡大できるため、保管効率は約2倍になると想定。定点でのピッキングや非稼働時の自己学習により、生産性は約3.8倍アップするとみている。

PopPickは、商品を納めた折り畳みコンテナを高さ約3.8m、縦に10段積んだ棚で高密度に保管。受注データを受信するとロボットがPopPickステーションと呼ばれる作業員の定点作業位置まで棚を届ける。

その次に、PopPickステーションは出荷する商品の入ったコンテナを棚から取り出し作業員の手元まで自動搬送。最後に、作業員が手元に届いたコンテナから必要個数を出荷コンテナに取り分ける作業のみを定点で行う。


(アスクル提供)

アスクルは物流センター内で作業員が注文のあった商品を注文ごとに集品する「ピッキング作業」に関し、既に完全無人のピッキングロボットから協業型のAMR(協働型ロボット)、作業員を定点固定するGTPまでさまざまなロボットを採用してきた。

いずれも従来、人が商品棚まで足を運び保管・ピッキングしていた工程をロボットが代替し、作業員の歩行負荷を減らし、作業効率を高めている。

PopPickはAVC関西の床面から庫内防火シャッター下までの高さ4mに対し、最大限の高さ約3.8mの棚を導入し、10段のコンテナを積載できる。棚の中のコンテナ同士も2cmの間隔で配置し、棚と棚の間にも人の歩行のための通路がないため、高密度に大量の商品を保管できるのが強み。

従来の棚搬送型GTPソリューションは、作業員が棚から商品を取り出す作業は手作業なのに対し、PopPickはステーション自体が対象のコンテナを自動で取り出し作業員の手元に届ける。

さらに、受注データなどを基に今後の注文を予想し、非稼働時間を利用して別々の棚に配置されている商品を注文頻度別に同じ棚内に集約する。棚の搬送回数が少なくなり、タイムロスの少ない、より効率の良い搬送を実現すると見込む。

アスクルはギークプラス製品として2019年からAVC関西にパレット搬送用ロボットとしてAGV「EVE M1000R」を展開しているほか、21年には埼玉県三芳町の「ASKUL三芳センター」に自動棚搬送ロボットとして「EVE P800R(AGV)」を取り入れている。

(藤原秀行)

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