非海運事業強化狙い、技術力など評価
商船三井は1月10日、風力発電設備のメンテナンスで国内最大手の北拓(北海道旭川市)を買収すると発表した。
1月9日付で、商船三井が北拓の発行済み株式の過半数を取得、資本提携することで合意した。具体的な出資比率や出資額は開示していない。
商船三井グループは現行の経営計画「BLUE ACTION 2035」で、非海運事業を伸ばしていく具体策の1つに洋上風力発電を据えている。北拓を傘下に収め、脱炭素化へ普及の期待が高まっている洋上風力発電などの事業基盤を強化したい考えだ。
北拓は特定のメーカーや発電事業者に属さない独立系のメンテナンス企業。日本にある風車約2600基のうち、およそ80%にサービス提供している。自社でトレーニング・実証研究用の風力発電設備を所有するなど、競争力の源泉となるメンテナンス技術要員の育成にも注力している。
(商船三井提供)
両社は2017年に連携を開始。商船三井が北拓から総合的なアドバイスを受け、風力発電業界への新規参入を加速してきた。一方、北拓は既往実績とO&M(設備の運用・保守)技術実績に強みがあるが、業界の急速な成長とプロジェクト規模拡大の中、個人オーナーからの脱皮を図ることを求められていた。
既に、洋上風力発電事業投資に向けた投資事業有限責任組合を設立するなど、連携を深めていたが、双方の思惑が一致、資本提携でさらに関係を強固なものにする。
(藤原秀行)