JPR・加納社長「想定外の需要」と説明・謝罪、回収強化など対応加速強調
※午前中に配信した記事を差し替えました
日本パレットレンタル(JPR)の加納尚美社長は4月26日、東京都内の本社で記者会見し、レンタルパレットの供給が今月中旬以降、滞っている状況を明らかにした。加納社長は「予想を大幅に上回る需要と、予想を大幅に下回る回収が影響している」と説明、謝罪するとともに、2019年度中は現状のような不安定な供給が続く可能性があると予測、空きパレットの迅速な回収などへの協力を要請した。
併せて、「物流業界全体の問題として、パレットをどのように使っていくかは解決していかないといけない課題」と語り、パレットの重要性を社会的にも広く訴えていく考えを示した。国土交通省にも需給バランスが崩れている現状を説明、支援を求めていく構えだ。
記者会見する加納社長
同社長によると、足元で急速に需給バランスが悪化し、4月22日以降に受けたレンタルパレットの注文に対し、要望に応えられていない状況にあるという。現在、出荷枚数を一律で3割減らすよう顧客に協力を求めている。併せて、新規の利用オーダーは受け入れを停止している。
4月は需要枚数が前年比15%増も回収4%プラスにとどまる
同社長は供給が不安定になっている背景として、深刻な人手不足による物流効率化の要請が強まっていることなどから、プラスチックパレットへの需要がここ数年は前年比8~9%増で推移しており、15年度からは約800万枚伸びている実情に言及。同時期に新規で約300万枚を調達したが、需要の伸びに追い付いていないことを明らかにした。
また、4月は需要が対前年比10%プラスとみていたが実際には約15%と上回っている一方、使用済みパレットの回収が7%プラスと予測したが実際には4%にとどまっており、需要と回収の乖離幅が拡大したため、急速に供給が滞っていると説明した。
今後の見通しとしては、夏季や消費増税前の駆け込み需要で波動が生じると見込まれることなどを踏まえ、「少なくとも19年度中は供給が不安定な状況が続き、物流や生産に大きな影響を与える可能性がある」と強調。
空きパレットの回収強化や国内外の調達先拡大、新たな素材を用いたパレットの開発など対応を加速する姿勢を示すとともに、「中長期的には安定してご要望に応えられる運用をしていきたい」と述べた。
経営責任について問われたのに対しては「全力で問題解決に対処していく」と繰り返し強調。パレット調達拡大が自社の経営に及ぼす影響に関してはコスト増が収益の重しとなることは認めながらも、パレットなどへの投資を継続する意向を明示した。
(藤原秀行)