長時間の荷待ちなど問題視、改善計画提出を指示
国土交通省は1月26日、貨物自動車運送事業法に基づき、運送事業者との公正な取引を阻害する疑いのある悪質な行為を是正するよう、元請けのヤマト運輸と、製紙大手王子ホールディングスの100%子会社で板紙の製造・販売などを手掛ける王子マテリア(東京都中央区銀座)の2社に勧告する行政処分を科した。
物流センターでの長時間の荷待ちが改善されないことなどを問題視した。2社に対しては改善計画を提出するよう指示した。
同法は問題行為があった場合、国交省が荷主企業や元請けの運送事業者に対し、法令に違反する疑いがあるような行為の原因を改善するよう「働きかけ」やより強い「要請」を順次実施し、それでも相手側が是正しない場合、「勧告」するとともに社名を公表するよう定めている。
国交省は昨年、荷主や元請けの問題行為を監視、情報を収集する「トラックGメン」を設立。昨年11~12月には「集中監視月間」と設定し、調査を強化していた。国交省が荷主などに勧告するのは今回が初めて。
国交省は「トラックGメンによるフォローアップを継続し、改善が図られない場合はさらなる法的措置の実施も含め、厳正に対処する」と警告している。
国交省によれば、ヤマトは長時間の荷待ちや契約にない付帯業務、運賃・料金の不当な据え置き、過積載運行の指示、その他の無理な運送依頼を行っていた。王子マテリアも長時間の荷待ちが継続していた。
ヤマトは1月26日、行政処分を受け「ヤマトグループの業務を支えていただいているパートナーの運送会社をはじめ関係者の皆さまには、多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。当社は、このたびの勧告を真摯に受け止め、再発防止に向けた取り組みを確実に実施し、関係者の皆さまからの信頼回復に努めてまいります」と謝罪するコメントを発表した。
(藤原秀行)