帝国データ調査、能登半島地震や「2024年問題」影響か
帝国データバンク(TDB)が2月5日公表した1月の景気動向調査によると、景況感の水準を示す業種別の景気DIは「運輸・倉庫」が43.5で、2023年12月から1.0ポイント低下した。前月から悪化したのは2カ月ぶり。
水準自体は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年10月(44.9)並みの水準に戻っているが、最近は総じて改善と悪化の一進一退が続いている。
コロナ禍の感染拡大を受けた行動規制が緩和され、経済活動が正常化したことが景況感の改善を引き続き下支えしている。しかし、年明けに発生した能登半島地震がそうした前向きな見方の重しになっているほか、「2024年問題」がも目前に迫り、ドライバーの労働時間短縮を迫られることも心理面でネガティブな材料になっているようだ。
全業種ベースの景気DIは1月が前月比0.7ポイント下がり44.2で4カ月ぶりに悪化した。TDBは今後の景況感について「2024年問題など構造的な悪材料を抱える中、賃上げの継続が焦点となり横ばい傾向で推移するとみられる」と予想している。
運輸・倉庫業の個別のコメントを見ると、先行きに関しては「EC市場はまだまだ上昇傾向にあると考える」(貨物軽自動車運送)と明るい見方がある一方、「世界的な不景気が長期化し、原料・燃料高騰が響くなか価格転嫁はなかなか進んでいない」(港湾運送)、「2024年問題や軽油の高止まりで好材料が見当たらない」(一般貨物自動車運送)との悲観的な声も聞かれた。
調査は1月18~31日、全国2万7308社を対象に実施、41.9%の1万1431社から有効回答を得た。運輸・倉庫業は471社が回答した。
(藤原秀行)