スズケンが医薬品トレーサビリティーシステムで特許取得

スズケンが医薬品トレーサビリティーシステムで特許取得

流通過程の品質向上・効率化に向け異業種3社と協業も

医薬品卸大手のスズケンは5月7日、IoT(モノのインターネット)やRFIDタグを活用した医薬品トレーサビリティーシステム「キュービックス」で特許を取得したと発表した。業界全体の課題となっている流通過程の温度・在庫・セキュリティー管理を先端技術によって解決・解消することで、患者の安心・安全な医薬品アクセス確保と医薬品流通の効率化に貢献していく。

医薬品業界では近年、高薬価医薬品やバイオ医薬品、再生医療など厳格な管理が必要なスペシャリティー医薬品が増加。流通過程でも厚生労働省「医薬品の適正流通基準(GDP)ガイドライン」に準拠した安全性の高い体制構築が進められている。その一方で流通在庫の不動・廃棄リスク、災害時や輸送・保管機器の故障などによる在庫リスクといった非効率な側面が課題の一つに挙げられる。

スズケンは2017年度から「キュービックス」の運用を開始。このほど
▽「医薬品在庫管理システムおよび医薬品在庫管理方法」(輸送・保管時の温度情報を自動的に蓄積し、再販売の可否判断を行うシステム)
▽「医薬品在庫管理システムおよび医薬品在庫管理方法」(地域・グループ間において必要な医薬品の在庫調整、移動判断を行うシステム)
▽「予兆監視システム」(医薬品保管庫の故障を事前に検知する予兆監視システム)
――について特許を取得した。これら以外の関連特許についても取得・出願しているという。

併せて「キュービックス」を利活用した新たなサービスの検討・開発・提供に向けて異業種3社との協業も発表した。

警備最大手のセコムとは6月から医療機関・保険薬局にスペシャリティー医薬品の24時間365日体制での見守りサービスを開始する。スペシャリティー医薬品の増加や多発する自然災害によって有事におけるセキュリティー、BCP(事業継続計画)のさらなる強化が求められる中、セコムが全国展開する警備サービスとスズケンの医療流通プラットフォームを融合。セコムの駆け付けサービスおよび停電に備えた蓄電池、スズケンの「キュービックス」を組み合わせて“24時間年中無休”によるセキュリティーサービスを提供する。

概要は
▽医薬品の温度・在庫管理、持ち出し監視
▽蓄電池による停電時バックアップサービス
▽セコムのセキュリティーシステムを用いた停電時駆け付け・通報サービス
――。「キュービックス」を採用している医療機関・保険薬局を対象とする。

電機大手のパナソニックとはスペシャリティー医薬品専用保冷ボックスを共同開発した。素材にパナソニックの新たな真空断熱筐体と蓄熱材を採用し、仕様にはスズケンの医薬品流通ノウハウや知見を反映。温度変化や衝撃に配慮が必要なスペシャリティー医薬品を物流拠点から医療機関・保険薬局へ輸配送する際に用いる。

保冷ボックスの主な特徴と想定される効果について
▽新素材の採用で長時間の温度保持による遠隔地への輸送や寒冷地における安定運用を実現と過冷却による凍結リスクを回避=流通品質向上および廃棄ロス削減
▽特殊な蓄熱材の利用により季節や地域の外気変動に影響されず、一年を通じて変わらない運用方法を実現=流通品質向上および物流担当者の負担軽減
▽新素材による保冷性能の経年劣化を低減=投資コストの軽減
▽電波の透過性確保によるIoTとの親和性向上=流通品質・作業効率の向上
▽保冷ボックスの軽量化=物流担当者の負担軽減
――を挙げる。


画像はスズケンニュースリリースより

理科学機器や試験研究設備などを手掛けるヤマト科学とは、保険薬局向けのクラウド資産管理システム「メディフィームス Pharmacy Edition」(「メディフィームスPE」)を共同開発するとともに独占販売契約を締結した。19年度は試験的に導入を行い、本格展開は20年度以降の予定。両社は17年9月に資本業務提携を結び「キュービックス」も共同開発している。

保険薬局はチェーン化の進展、調剤報酬の適正化、在宅医療への対応、後発医薬品の普及、 対物から対人への業務シフト、遠隔服薬指導の規制緩和など取り巻く環境が大きく変化。これに伴い取り扱う資産の多様化が進み、効率的な資産管理に対するニーズが高まっている。

ヤマト科学グループが病院向けに販売している医療施設情報総合管理システム「メディフィームス」 にスズケンの保険薬局経営、資産有効活用のノウハウを組み込み「メディフィームスPE」を開発した。

「メディフィームスPE」の導入によって
▽資産の一元管理(IT機器、調剤機器、備品、車両、免許、土地、建物、チェーン薬局本部による全店舗の一元管理など)
▽資産管理コストの低減(棚卸し業務の効率化、資産の所在明確化による業務削減、遊休資産の早期把握、適正管理)
▽事業リスクの低減(資産の紛失、持ち出し管理、事業運営に必要な免許の更新アラート管理)
――の効果を見込んでいる。

(鳥羽俊一)

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