国交省、就労環境改善とドライバーらの賃上げ促進狙う
国土交通省は3月22日、貨物自動車運送事業法に基づく「標準的運賃」に関し、水準を平均8%引き上げるとともに、荷役の対価などを考慮した新たな運賃を同日付で告示したと発表した。
併せて、新たな「標準運送約款」も同日付で告示しており、6月1日付で施行する。
国交省は「2024年問題」開始が直前に迫る中、適正な運賃を運送事業者が収受できるよう、荷主企業や元請け運送事業者との運賃交渉に活用してもらい、トラックドライバーらの賃上げ原資を確保できるよう支援、就労環境改善につなげていきたい考え。
標準的運賃の見直しは、政府が取りまとめた「2024年問題」への対応に関する政策パッケージで、トラックドライバーの待遇改善を促進するため内容見直しを主張。国交省が設置した官民の検討会が昨年12月、見直し内容を取りまとめ、国交相の諮問機関「運輸審議会」は内容を適当と答申していた。
新たな標準的運賃は地域ごとに設定している距離制・時間制の運賃表(タリフ)で打ち出している運賃を平均8%程度引き上げるとともに、算定根拠となる原価のうちの燃料費を1リットル当たり120円に変更し、燃料サーチャージも120円を基準価格に設定。
併せて、待機時間料に加え、荷役作業ごとの「積込料・取卸料」を加算することや、「下請け手数料」を設定することなども打ち出している。
標準運送約款は標準的運賃の見直しに合わせる形で内容を改正。契約にない作業をドライバーが荷主から求められた場合に積込料・取卸料を収受する旨を明記したほか、契約の書面化・電子化などについても定めている。
(藤原秀行)