西日本向けトラック輸送の一部を切り替え、「2024年問題」や脱炭素対応重視
ネスレ日本とJR貨物は3月27日、静岡市の静岡貨物駅で、ネスレ日本が「2024年問題」対策として今年2月に始めた西日本向け商品輸送の一部を鉄道に切り替えるモーダルシフトに関し、実際の現場での貨物輸送の様子をメディアに公開した。
モーダルシフトは静岡県島田市のネスレ日本島田工場から大阪府と和歌山県の納品先への約330kmの区間で実施。主力商品のペットボトル入り「ネスカフェボトルコーヒー」をJR貨物の静岡貨物駅から大阪の百済貨物ターミナル駅まで毎日運んでいる。
この日は静岡貨物駅に到着した貨物列車に、構内でフォークリフトがネスレ日本の商品を積み込んだ12ftコンテナ5個を搭載。大阪に向けて出発した。1日当たり40個を輸送している。
到着した貨物列車
ネスレ日本のコンテナを積み込む
ネスレ日本は年間約4000台分のトラック輸送を鉄道に切り替えることで、輸送時のCO2排出量を年間約900t削減できると想定している。ネスレ日本とJR貨物によると、食品・飲料業界で中距離帯のトラック輸送をモーダルシフトして定期貨物鉄道に切り替えるのは初めてという。
ネスレ日本は既に500km以上の長距離帯でモーダルシフトを展開しており、2024年問題への対応強化などのため、より貨物量が多いルートに対象範囲を広げることにした。鉄道による貨物輸送量は23年実績から24年は4倍まで伸ばす計画を公表している。
現地で会見したネスレ日本サプライ・チェーン・マネジメント本部物流部の伊澤雄太物流企画課長は「社会と企業の両方に価値を生み出す取り組みをこれからも積極的に行っていきたい」と強調。
同本部物流部ロジスティクスプロジェクトの坂口治夫マネジャーは「これまで予定通り運んでいただいている。モーダルシフトなどの手立てを講じており(2024年問題が始まる)4月1日は問題なく迎えられると信じている」と説明した。
JR貨物の小山靖仁執行役員東海支社長はモーダルシフトの需要が増えていることに関し「国の施策がいろいろと出てきたことで社員のモチベーションが上がっている。会社としてどう(ニーズに)応えていくかを考えていく」と意気込みを示した。
モーダルシフトに携わるネスレ日本とJR貨物などの関係者
(藤原秀行)