日本郵船が新造外航船で世界初、立体図面のみで基本設計から船級協会承認まで完了

日本郵船が新造外航船で世界初、立体図面のみで基本設計から船級協会承認まで完了

平面図面への変換を省略、迅速・効率的なプロセス実現

日本郵船は3月28日、日本海事協会(ClassNK)から新造多目的コンテナ船の基本設計図面に関する3D認証(3D Model-Based Approval)を取得したと発表した。

同社とClassNKによると、造船の初期段階の基本設計から船級承認までを立体図面(3D図面)のみで完了したのは外航船では世界初という。

通常は新造船の構造設計に関わる情報平面図面(2D図面」)を使って共有するのが一般的。船会社・造船所は、基本設計の課程で3D図面を作成した場合でも、3DCAD(コンピューター設計)システムが会社や船種によって異なるため、船級承認を申請する際には共通のフォーマットが確立されている2D図面へ変換する手間が生じていた。

また、船級協会は受け取った2D図面データを基に、3Dモデルによる評価システムを用いて要件を満たしているかを確認する必要があり、双方の業務効率化が課題となっていた。

加えて、複雑な2D図面を正確に把握するためには長年の経験と高度な専門知識が必須で、設計に携わる関係者間の情報共有の粒度が担当者に依存していることも問題だった。

日本郵船が作成した3Dモデルデータを、ClassNKが使用する独自のシステム上でも確認できるよう連携システムを活用したことで、2D図面への変換プロセスを省略。また、3D図面上で船舶各部の構造を立体的にチェック可能なため、2D図面よりも設計を直感的に理解することができ、関係者間の円滑なコミュニケーションにつながった。

本船概要
船種:多目的コンテナ船
全長:約168m
全幅:約26m
総トン数:約22,000トン


多目的コンテナ船のイメージ(いずれも日本郵船提供)

(藤原秀行)

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