「社会性(社会課題)」「成長性(革新性)」「地域活性化」の3テーマ軸に
京都信用金庫(京都市下京区)は3月29日、子会社のベンチャーキャピタル、京信ソーシャルキャピタルと共同で投資ファンド「京信イノベーションC3号ファンド」を設立したと発表した。資産規模は10億円。
第1号案件として、大阪大学発のスタートアップでロボット開発を手掛けるThinker(シンカー、大阪市)への投資を実行した。具体的な投資額は開示していない。
(左から)京信ソーシャルキャピタル・国本丈弘代表取締役、京都信用金庫・榊田隆之理事長、Thinker・藤本弘道CEO(最高経営責任者)
今回のファンドは2018年に1号ファンドを設立した「京信イノベーションCファンド」の後継と位置付けている。創造的なビジネスモデルで社会課題の解決を目指す企業や地域活性化につながるビジネスモデルに対して資金を供給する。
業種やステージを問わず幅広く地域のスタートアップへ投資しており、過去の2本のファンドでは40社超の投資先に対して、総額10億円超の投資を実行してきた。
3号ファンドは引き続き「社会性(社会課題)」「成長性(革新性)」「地域活性化」の3つのテーマを軸に据え、ファンド総額を同2号ファンドから倍増させることで、地域のスタートアップ支援を強化する。
C3号ファンドの概要
運用期間:10年
投資対象:原則、京都信用金庫の営業エリア内に所在し、以下に該当する企業
・地域活性化のための、イノベーティブな取り組みに挑戦する企業
・事業承継を検討している企業
Thinkerは赤外線とAIを組み合わせた独自のセンシング技術で、非接触かつ高速で対象物との間の距離と傾きの程度を計測、位置と形状を感知する「近接覚センサー」の開発を手掛けている。
近接覚センサーを搭載したロボットハンドは、ハンド自体が物の形状や位置を理解して自動で追尾・キャッチし、ばら積みされた対象物を“まさぐる”など、人間の動きに近い動作を再現する。また、従来取り扱いが困難だった透明物や鏡面物でもつかめるという。
ロボットハンドが透明の試験管を掴んで移動させる様子(いずれも京都信用金庫提供)
(藤原秀行)