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トールの一部事業売却、コロナやサイバー攻撃が要因に

トールの一部事業売却、コロナやサイバー攻撃が要因に

日本郵便・衣川社長がオンライン会見、国際物流拡大へ仕切り直し表明

日本郵便の衣川和秀社長は4月21日、同社子会社の国際物流大手、豪トールホールディングスがエクスプレス事業をオーストラリアの投資ファンドに売却することを決めたのを受け、オンラインで記者会見を開いた。

衣川社長は2015年のトール買収後、同事業の収益改善に努めてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大や、トールが昨年にサイバー攻撃を受けて情報システムが遮断したことが大きな打撃になり、売却に動いたと背景を説明。トールの残るフォワーディングやロジスティクスの事業で業務改革を進め、国際物流拡大へ仕切り直しをする意向を示した。


衣川社長(20年撮影)

日本郵政は15年に国際物流強化のためトールを約6200億円で買収したが、業績の不振が続き、17年3月期には約4000億円の減損損失を計上。エクスプレス事業はオーストラリアやニュージーランドで小包配達などを手掛けているが、20年4~12月期の営業損益(EBIT)は8300万豪ドル(約60億円)の赤字にとどまった。

衣川社長はエクスプレス事業に関し「トールの中で一番収益性に問題があった。いろんな取り組みを進めてきたが、サイバー攻撃やコロナと、なかなか予期せぬ問題が起こった」と述べ、外部環境悪化が大きな要因だったとの見解を表明。「トールの経営改善に努めるのが経営責任を果たしていくことにつながると思う」と述べた。

トールのフォワーディングやロジスティクス事業については「コロナ禍でもプラスの影響を受けている面もあり、収益状況はかなり良く、改善の余地がある。日本国内で人口減少が起こっていることを考えると、国際物流分野が重要との認識は変わっておらず、時間をかけて社内で(成長戦略を)議論していきたい」と解説。

新たな成長策について問われると「アジア経済自体の発展力はまだかなりあると見込んでいるので、アジアに一定の地盤を持つトールをうまく使っていけないか議論したい」と言及。ただ、詳細に関しては「ここしばらくはコロナ対策とトールのエクスプレス事業売却交渉に(労力を)費やしており、残った事業をどう展開していくかはまだ社内でも十分議論されていない」と答えるにとどめた。

「トール自体が買収繰り返してきた集合体、組織統合・業務効率化に時間かかった」

巨額を費やして買収したトールで相次ぎ損失を計上、一部事業を手放す結果となった点に対しては「企業として新たな分野に成長を求め、進出していく上では当然うまくいくことも、いかないこともあるが、大きな損失を出していることは重く受け止めないといけないし、おわびもしないといけない」と謝罪。個人的見解と断った上で「15年の買収以降、オーストラリアの経済が減速に転じるなど(環境変化を)読み切れなかった。(予測を)もう少し厳格にやっておく必要があったのではないか」との見方を示した。

買収後のPMI(組織統合作業)の進捗について質問されると、「トール自体が買収を繰り返して拡大した集合体のようであり、うまく統合して効率化していくには時間がかかったんだろうと思う。目の前の課題については1つ1つ改善を重ねてきたが、そこでサイバー攻撃とコロナという大きなショックがあり、方針を変えざるを得なかった」と釈明した。

(藤原秀行)

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