オンライン服薬指導と組み合わせ、へき地の遠隔医療体制構築目指す
TOPPANホールディングス(HD)は4月2日、新潟県魚沼市のへき地医療における薬局・薬剤師不足解消に向け、処方せん薬宅配サービスを活用し、遠隔医療体制を構築する実証実験を同日始めたと発表した。期間は9月末までの約半年間。
TOPPANHDの100%子会社で医療・保健機関のバックオフィス業務の受託などを手掛ける おかぴファーマシーシステム(東京都千代田区神田和泉町)が提供する処方せん薬宅配サービス「とどくすり」を活用し、一般財団法人魚沼市医療公社(新潟県魚沼市)の協力を得ながら、市の診療所の一つ「入広瀬(いりひろせ)診療所」で実証を継続する。
診察後の処方せん薬の受け取りについて、オンライン服薬指導を実施した後、処方せん薬の宅配を実施し、へき地医療における薬局・薬剤師不足解消の実現と高齢者が多い過疎地におけるオンラインサービスの有用性を検証する。
TOPPANHDは実証を通じて、へき地医療で必要な人に適切な医療が提供される持続可能な医療アクセスの向上を図る。
実証のイメージ
国内の離島や過疎地域などでは、人口減少に伴う医師・医療人材の不足により、現状の医療体制の維持が年々厳しくなっており、各地でオンライン診療の実証実験が進められている。しかし、多くは診察のみが遠隔医療で、調剤と薬剤の交付は医療機関内や薬局での対面が前提となっている。
また、へき地医療における人材・リソース不足は医師だけでなく薬局・薬剤師にも該当しており、診察から調剤・薬剤の交付までを包含した医療体制の構築が急務となっている。
TOPPANHDは一連の課題解決のため、「とどくすり」の枠組みを使い、調剤・薬剤における遠隔体制を通じて地域の薬局・薬剤師不足を解消するプラットフォームの構築を目指す。
今後は、地域の潜在薬剤師(薬剤師免許を取得していながらも、薬剤師として働いていない人)に向けてオンライン服薬指導を働き方の一つとして提示し、地元人材の活用も視野に入れる。
実証期間中の参加者数は延べ720人を想定。高齢者の多い地域のため、実証では入広瀬診療所内にスタッフを配置し、現地でスタッフが「とどくすり」の利用を希望する患者に対するウェブ利用登録や利用方法の説明などのサポートも担う。
入広瀬診療所の外観
TOPPANHDは実証を経て、今年10月から魚沼地域における「とどくすり」を活用した遠隔医療体制の自走を始めたい考え。併せて、全国のへき地医療対象地域で調剤・薬剤に関する遠隔体制の構築を進める構え。
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用