首都圏の大型賃貸倉庫、6月末の空室率はわずかに上昇も0・43%と低水準維持

首都圏の大型賃貸倉庫、6月末の空室率はわずかに上昇も0・43%と低水準維持

CRE市場調査、「需給両面でいまだ旺盛」と指摘

シーアールイー(CRE)は8月12日、賃貸倉庫の市場動向を分析した「倉庫・物流不動産 マーケットレポート(β版) Ver.202006」を公表した。今年6月末の賃貸大型倉庫(1万平方メートル以上、BTS型含む)の空室率は首都圏で前期(20年3月末)から0・02ポイントとわずかに上昇したが0・43%と低水準を維持した。

CREは首都圏に関し、調査開始以来の最高だった19年より新規供給量は減少するものの、「20年は供給と需要の両面でいまだ旺盛なステージにある」と指摘。4~6月は約14万坪の新規供給と約9000坪の既存供給をほぼ消化したとの見解を示した。7~9月は約8・8万坪、10~12月は約15・8万坪の新規供給が計画されているという。

今後については「現時点で7~9月は3万坪の未消化が生じているが、商談は進んでおり、10~12月の内定は約50%との情報がある。直近は低い空室率を維持すると推察する」と展望。21年は現時点で約76万坪の新規供給が見込まれていることも踏まえ、「首都圏の活気は継続している」と結論付けた。

関西圏は1・65ポイント上がって3・71%となり、9四半期ぶりに上昇した。20年の4~6月は新規供給が調査開始以来の最高となる約12・7万坪に達した一方、新規需要は約9・5万坪と1~3月の5倍まで増えたものの、供給量を下回った。

CREは「7~9月は約2・6万坪、10~12月は約2・5万坪の新規供給が計画され、全て内定しているとの情報がある」と解説。「空室率はしばらく良化傾向で推移する」との見方を示した。21年は約23万坪の新規供給を見込んでいる。

中部圏の空室率は1・43ポイント低下し4・29%だった。名古屋北・南の両エリアでいずれも新規供給がなく、既存物件のスペース消化が進んだ。10~12月は名古屋北エリアで約1・8万坪の新規供給が計画されているが、現時点で内定が進んでいないとの情報があるという。

九州圏は5四半期連続のゼロを記録した。20年は2年ぶりに約1・2万坪の新規供給があり、全て入居が決まった。21年は約2・5万坪、22年は約2・9万坪の新規供給が計画されている。「現時点での内定率は21年で40%強、22年は30%との情報がある」という。

1000坪未満(CRE管理分のみ)の賃貸中小型倉庫は、首都圏の空室率は前期から0・01ポイント下がって1・22%だった。

調査対象となった大型施設は首都圏が393棟、関西圏が104棟、中部圏が29棟、九州圏が29棟、中小型倉庫は首都圏で936棟。

(藤原秀行)

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