ニチレイ・大櫛社長、低温物流のアジア展開拡大に意欲

ニチレイ・大櫛社長、低温物流のアジア展開拡大に意欲

業務革新は省人化などの成果をグループ内で横展開へ

ニチレイの大櫛顕也社長は5月14日、東京都内の本社で記者会見し、2019~21年度を対象とする新たな中期経営計画「WeWill2021」を公表した。

加工食品事業で主力カテゴリーのチキン・米飯に経営資源を集中して収益力を高めるとともに海外展開を加速することなどで、21年度の連結売上高は18年度実績から13・2%増の6570億円、営業利益は18・6%増の350億円とすることなどを打ち出した。期間中の設備投資は1008億円を見込む。


会見に臨む大櫛社長

オランダや英国、ドイツで事業基盤拡大

低温物流事業に関しては、国内随一の規模を持つ保管拠点規模を最大限活用して高水準のサービスを提供。20年4月稼働予定の「名古屋みなとDC」や、横浜市内で建て替えを計画している新センターといった設備投資を積極的に行い競争力強化につなげる。

さらに、同事業を手掛けるニチレイロジグループを挙げて取り組んでいる業務革新を引き続き推進。タブレット端末による検品拡大、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)推進による事務作業短縮、無人フォークリフト活用、自動配車システムの普及などを同時並行で進め、庫内情報のデジタル化と蓄積したデータを活用した効率化を実現するとのシナリオを描いている。

他にも、欧州で事業基盤を拡充。オランダ・ロッテルダム港に倉庫を増設するほか、英国やドイツでも保管機能を強化することなどを盛り込んでいる。

各施策の効果により、同事業の21年度の売上高は18年度実績から4%増の2270億円、営業利益も4%増の127億円をそれぞれ目指す。

東南アジア「大いに期待できる」

大櫛社長は新中計の低温物流事業について、これまでの欧州や中国、タイに加え、東南アジアでの展開に注力していく姿勢を強調。「東南アジアは冷凍インフラのニーズが急速に高まっている。現地の優良な企業とアライアンスを組んでしっかりビジネスを展開していきたい。大いに期待できる」と力説した。

業務革新の運動については「今一番困っているのが物流現場の最前線で、特に冷蔵庫内の作業は人手不足を含めて大変な状況になっている。(省力化や生産性向上などの成果は)一気に横展開していく」と指摘。協力運送会社と連携して商品配送の効率化も検討していく構えを見せた。

同社長は新中計と併せて、グループ全体の長期経営目標「2030年の姿」も発表した。冷凍食品や低温物流の市場拡大による需要を着実に捉えることなどで、30年には連結売上高1兆円、海外売上高比率30%、売上高営業利益率8%をそれぞれ達成することを描いている。

(藤原秀行)

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