工場や物流現場で実証実験、利用者の半数以上が継続利用希望
東京理科大学発ベンチャーのイノフィスは4月23日、腰への負担が大きい作業(荷物の持ち上げ、積み込み、引き上げ、荷卸し、移動、運搬)で、同社が手掛けるマッスルスーツが負荷軽減や作業効率化を実現できるかどうかに関する検証を工場や物流施設で実施したと発表した。
マッスルスーツ「Soft-Power」が業務に支障なく使用ができるか、身体的負担感の軽減に役立っているか、導入で事業に好影響を及ぼすことができるかの3点について、いずれも有用との検証結果が出たという。
今回の検証は、東京・多摩地域でイノベーションを起こし続ける好循環(エコシステム)を作ることを目指して中小企業や大学・研究機関、スタートアップなど多様なプレイヤーが交流し連携を強める「多摩イノベーションエコシステム促進事業 リーディングプロジェクト」の一環として実施。
事業主の東京都と、プロジェクトの業務を委託しているデロイトベンチャーサポートの協力を得て、4社(森永乳業東京多摩工場、ヒューテックノオリン、菊池製作所、ナック)の実証フ ィールドで検証を行った。
実証でマッスルスーツ「Soft-Power」を使った人にアンケート調査を実施した結果、50%以上が今後も使用したい、45%以上がSoft-Powerを職場で採用してほしい、55%がSoft-Powerのある職場で仕事をしたいとそれぞれ回答した。
着用者に筋電系センサーを用いた筋力負荷値の計測と分析を実施したところ、特に固定位置での繰り返し作業で最大60%の腰の負荷低減を確認した。
また、着用有無による業務改善効果を測定すると、着用した場合は作業時間が短縮し、原材料の運搬業務の平均時間が約6%短縮された。
導入検討を行う責任者への定性評価(デプスインタビュー)を確認した結果、腰部に不安を抱えている従業員が利用した場合に明らかな効果を実感し、退職率の軽減につながる可能性も示唆された。一方で、今はまだ腰部に不安を抱えていない20~30代の若い従業員への意識改革をして いく必要があるという声もあった。
イノフィスはマッスルスーツの活用により、物流業界全体の労働環境の改善に貢献し、より持続可能な職場環境の実現を後押しできると見込む。
検証①アンケート調査①
検証①アンケート調査②
検証②-1結果
検証②-2結果(いずれもイノフィス提供)
(藤原秀行)