三菱倉庫、30年度にROE10%達成目指す

三菱倉庫、30年度にROE10%達成目指す

「企業価値向上への取り組み」公表、純資産の政策保有株式比率20%未満など継続

三菱倉庫は4月30日、資金の借り入れに伴う利息や株式配当支払いなどの資本コストと株価を意識し、事業成長や財務状況改善などを図る「企業価値向上への取り組み」を公表した。

2023年度は積極的なM&Aなどの戦略投資、資本効率向上や株主還元の継続、情報開示などが株式市場に評価されて株価が上昇し、PBR(株価純資産倍率)も企業が投資家からどのように評価されているかの目安となる「1倍」近くまで改善してきたと総括した。

同時に、政策保有株式の時価が膨らんだことによる純資産増加などで23年度末にPBRが1倍を超えるところまでは至っていないと指摘。経営計画で重点分野に指定している「医療・ヘルスケア」「食品・飲料」「機械・電機」「新素材」の4分野強化、M&Aや業務提携を生かした事業拡大、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を活用した新規事業創出、などを図る考えを示した。

また、財務の健全性を表す自己資本比率は55%程度を目安に維持することを明記した。

2030年度の目標として、ROE(自己資本利益率)10%を掲げた。政策保有株式の売却益や含み益の影響を除いた「実力値」で判断する。

事業別の戦略や施策の詳細は2025年度に始まる次期経営計画で公表する予定。

25年度末までに純資産に占める政策保有株式の比率を20%未満まで下げる方針は継続し、26年度以降も縮減を続けることを盛り込んだ。最近の株価上昇傾向を受けて政策保有株式の時価が膨らんでいるため、売却益を戦略投資や株主還元へ有効に活用することにも言及した。

また、株価上昇促進の一環で24年度に100億円以上の自己株式取得を実施、25年度以降も機動的に行う方向性を示した。

株主還元については、「配当性向30%以上・配当利回り3%以上」を意識し、機動的かつ柔軟に配当を拡充することに触れた。

(藤原秀行)

経営/業界動向カテゴリの最新記事