空港グラハン協新会長にANAエアポートサービス・服部会長が就任

空港グラハン協新会長にANAエアポートサービス・服部会長が就任

年次総会で事業計画承認、カスハラ対策のガイドライン策定など明記

空港で航空機の誘導や貨物の積み降ろし、旅客の搭乗支援といったグランドハンドリング(地上支援業務、グラハン)業務を手掛けている事業者の業界団体「空港グランドハンドリング協会」は5月16日、東京都内の羽田空港第3ターミナル内で年次総会を開催した。

昨年8月の協会発足時から会長を務めてきた小山田亜希子全日本空輸(ANA)上席執行役員(前ANAエアポートサービス社長)が会長を退き、後任に同じくANAエアポートサービス会長を務める服部茂氏を選出した。服部氏は同日付で就任した。


年次総会の会場

総会は併せて、第2期となる2024年度の事業計画も承認した。新型コロナウイルス禍の影響でグラハン業界から離職者が相次いだことについて、現状はコロナ前の水準まで従業員数が回復してきているものの、中堅層にとっては新入社員教育などの負担が増し、離職につながるケースもあるなどと課題を指摘。

グラハン業界の魅力を高めて人を引き付けるため、第1期で掲げた「採用競争力強化」「離職抑制」「省力化・省人化などによる生産性向上」の視点に基づき、活動を継続していくことを打ち出している。

具体策として、会員各社の経営基盤強化へ業務委託元の航空会社から適正な委託料を収受できるようにすることを提示。業界全体の賃金動向を調査し、底上げを図る上での基礎的なデータとして活用することや、大学や専門学校と連携して学生らの間でグラハン業界の認知度を高めるためのイベントやセミナー、学校訪問を継続することなどを列挙している。

また、旅客対応のグラハンスタッフが顧客からカスタマーハラスメント(カスハラ)を受ける事態を防ぐため、日本カスタマーハラスメント対応協会と協力し、対策のガイドラインを取りまとめることや、業界統一で目指すことができる中期目標の設定を検討することなども示している。

政策要望、業務効率化検討、カスハラガイドライン検討の3つの事項に関して専門委員会が引き続き、協会内で議論をリードしていくことも盛り込んでいる。

総会の最後にあいさつした服部新会長は、訪日外国人数が今年3月に初めて300万人の大台に乗るなど、コロナからの航空需要回復が続いていることに言及。「さらなる航空旅客数と貨物量の増加が期待できると思う。業界にとって大きなビジネスチャンスだが、業界は足元の厳しい雇用状況を踏まえ、旅客数・貨物量の増加を素直に喜べないのが現状。こうした状況を協会の力で打破していきたい」と決意を表明した。


あいさつする服部新会長

(藤原秀行)

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