UDトラックスの熊本工場で車両不正改造、整備指定取り消しの行政処分

UDトラックスの熊本工場で車両不正改造、整備指定取り消しの行政処分

保安基準不適合のリアバンパー装着など、車検時にも違法行為

国土交通省九州運輸局は5月31日、いすゞ自動車傘下のUDトラックスに対し、熊本市の熊本カスタマーセンターの整備工場で道路運送車両法に違反して車両を不正に改造していたことなどを理由に、同センターの自動車特定整備事業や指定自動車整備事業の指定を6月1日付で取り消す行処分を科すと発表した。

同工場では今後、車検の手続きなどができなくなる。

九州運輸局によると、同センターでは2021~23年にかけ、車両計65台で不正改造を実施したほか、同法に適合していない状態にもかかわらず計8台で車検手続きを進め、適合証を交付していた。

不正改造の具体的な内容は、保安基準に適合していないリアバンパーを装着したのが18台、他の不適合の部品装着が39台、車検時に排出ガス発散防止装置を一部取り外していたのが8台だった。

UDトラックスは5月31日、同センターの整備工場を6月1日付で無期限閉鎖する方針を表明。「トラックの販売・サービスを行う事業者として、法規に適合した車両を走行させる責任があるにもかかわらず、こうした事態を招いたことを大変重く受け止めています。また、国の指定を受けた民間車検場の立場にありながら、不適切な行為に至ってしまったことを心より謝罪申し上げます」などと陳謝した。

同社は原因について「整備の現場で難しい事案への対応を担当者の判断に任せてしまったこと、さらに組織として不適切な行為を把握・是正する十分な管理・監督機能を有していなかったことが主な要因。また、コンプライアンスに関するトレーニングを全社で定期的に実施しているにもかかわらず、意識が社内に十分浸透せず、徹底されていなかったことが不正につながったと考えます」と説明。

再発防止に向け、整備ルールの厳格化や社内で相互にチェックし合う体制の整備などを図ると強調している。

(藤原秀行)

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