福利厚生充実させ人材確保・定着図る、業務の電子化も
スタートアップやベンチャーキャピタル(VC)で働く人を対象とする健康保険組合「VCスタートアップ健康保険組合」が厚生労働大臣の設立認可を受け、6月1日付で事業を正式に開始した。
国内でスタートアップやベンチャーキャピタルに務める人向けの健康保険組合が誕生したのは初めて。
同組合は福利厚生を充実させ、人材の確保・定着につなげて起業の活性化やスタートアップの成長をサポートしていくことを主眼に置いている。従業員の健康増進を後押しし、国の医療費削減に貢献することも目指す。
さらに、保健事業や組合運営に関わる業務を積極的に電子化し、DXを促進していきたい考えだ。
加入できるスタートアップはベンチャーキャピタルから出資を受けていることが条件で、業績が赤字でも加入可能。発足当初はスタートアップが約150社、ベンチャーキャピタルが20社超それぞれ参加している。被保険者と被扶養者は1万人強に上る。
これまでスタートアップで働いている人は中小企業が対象の協会けんぽに加入するケースが多かったが、協会けんぽは中高年の加入者がメーンのため医療費が膨らみ、保険料も高くなる傾向があった。
新しい健康保険組合は加入者の平均年齢が30歳代と高いため、保険料を協会けんぽ加入より安く抑えられる見通し。
スタートアップは成長を優先するため、福利厚生の整備がどうしても後回しになりやすかった。健康保険組合の創設で就労環境を改善し、スタートアップに参加しやすくすることを想定している。
(藤原秀行)