買い付け価格引き上げず、SGHD対応には「合理的な評価と考えられない」と指摘
AZ-COM丸和ホールディングスは6月6日、C&Fロジホールディングスに対して5月2日から実施しているTOB(株式公開買い付け)について、1株当たりの買い付け価格を現行の3000円から引き上げないことを決めたと発表した。
AZ-COM丸和は最終的にC&Fロジを完全子会社化することを目指していたが、C&Fロジに対してはSGホールディングスもホワイトナイト(第三者による対抗の買収提案)として5月31日にTOBを発表、1株当たりの買い付け価格を5740円と設定している。C&FロジはSGHDのTOBに賛同し株主に応募を推奨する一方、AZ-COM丸和のTOBには反対する意向を示している。
AZ-COM丸和は「買い付け価格の引き上げを行わないことにより、事実上、当社は対象者(のC&Fロジ)との経営統合を断念することになる」と表明した。SGHDのTOBに対抗するのは難しいと判断した。
AZ-COM丸和は自社の買い付け価格に関し、株主にプレミアム(価値の上乗せ)を実現するとともに、C&Fロジの既存取引先やAZ-COM丸和としても利益を確保できる「三方よし」を実現することを意図して設定したと正当性を説明。
一方、SGHDの買い付け価格について、C&FロジとC&Fロジ社内の特別委員会がそれぞれ第三者算定機関に依頼して算定した結果の価格レンジを大きく上回っており、「当社として合理的な企業価値評価に基づく水準とは考えられないとの結論に至った」と指摘した。
仮にAZ-COM丸和はTOBが不成立になっても、低温食品物流事業部門を3年程度で現在のC&Fロジの売上高と同規模まで拡大させる予定と強調。C&Fロジなしでも事業の成長を果たしていくことに自信を見せた。
最後に「2024年問題」を受け「対象者(のC&Fロジ)も物流業界の一員としてこのような社会的課題の解決に向けて責務を果たされることを切に期待している」とコメントした。
物流業界の関係者からは、AZ-COM丸和がホワイトナイトとしてSGHDが登場、大きく上回る買い付け価格を提示したことに不快感を表明したとの見方が相次ぎ出ている。
(藤原秀行)