千葉・流山の日本GLP大型物流施設内で3カ所目拠点借り受け
倉庫への派遣・業務請負などを手掛けるテイケイワークス東京(東京都新宿区新宿)が新たな事業領域として、物流倉庫のサブリース(転貸)事業を強化している。6月には千葉県流山市で日本GLPが開発した大規模物流施設の一角を借り受ける契約を締結した。
先進的な機能を持つ倉庫スペースを使いたいとのニーズは依然底堅いが、最近は現場で作業スタッフを集めるのに苦労するケースが増えている。テイケイワークス東京は派遣・業務請負のノウハウを生かし、倉庫のスペース提供と貴重な労働力確保をセットで展開することによりテナント企業の信頼を獲得、サブリース事業の存在感を高めていきたい考えだ。
”労働力がひも付いた施設”を提供
テイケイワークス東京は、警備会社のテイケイを母体とするテイケイグループの人材派遣会社9社のうちの1社で、2023年6月期の売上高は101億円に上る。物流施設のサブリース事業は2023年にスタートした。
6月1日には日本GLPが千葉県流山市で開発した「ALFALINK(アルファリンク)流山6」の1階の一部、約4627㎡を賃借する契約を締結した。先行して契約を結んでいる住友商事系JリートのSOSiLA物流リート投資法人が運用している「LiCS所沢」(埼玉県所沢市)、三井不動産の「MFLP座間」(神奈川県座間市)と合わせると、提供する床面積は約2万3080㎡に達する。
ALFALINK流山6の全景(日本GLPプレスリリースより引用)
テイケイワークス東京の若月学代表取締役は「当社が最大の強みとしている、人を集める、定着させるノウハウを発揮することで”労働力がひも付いた施設”としてテナント企業に安心して利用いただけると考えている。ALFALINK流山では地域と災害時における協力協定を交わしたり、近隣居住者を招いてイベントを開催したりと地域交流の取り組みも積極的に行われている。そのような施設と地域の良好な関係も、当社の事業と相乗効果になると考えた」と説明する。
同社を含めたテイケイグループの人材派遣会社9社は、倉庫を中心に1日当たり約1万人の人材を供給している。中心事業の人材派遣や業務請負に加え、同じくグループで展開しているビルメンテナンス事業などとのシナジーも期待できることから、物流倉庫のサブリース事業に着目、本腰を入れて取り組んでいる。
労働力を集める強みが活かせる立地を選定し、23年8月にSOSiLAリート投資法人とLiCS所沢の2階建て全フロア約7815㎡の賃貸借契約を締結。今年2月にも三井不動産のMFLP座間の1区画約1万637㎡を借り受け、柔軟な区画割でテナント企業に提供する賃貸事業を本格的にスタートした。
今回契約したALFALINK流山は都心から25km圏内の好立地にあることに加え、全体で8棟の倉庫が立ち並び、近隣にも賃貸物流施設が多いことから、テイケイワークス東京はオーバーフロー在庫を保管するバッファー倉庫としての需要も期待できると見込む。同社は以前から同施設の別棟にオフィスを構えており、他の入居企業との連携の取りやすさも物件選定の決め手の一つとなった。サブリースだけでなく、状況によっては寄託案件の受け入れに活用するなど、幅広い用途を視野に入れて今後の展開を検討しているという。
若月代表取締役は「労働力調整だけでなく、マテハン事業者と協力して設備の保守メンテナンス人材を育てたり、物件が少ない小規模スペースの賃貸需要に対応したりと、われわれが調整弁となることでさまざまな業界課題の解決に貢献していきたい」と述べ、協業を含めた多様な事業展開に意欲を示している。
(川本真希)