酒造大手の日本盛、カミナシの現場作業効率化ソフトで年間223時間の業務削減

酒造大手の日本盛、カミナシの現場作業効率化ソフトで年間223時間の業務削減

20以上の帳票を紙から切り替え達成、将来はサプライチェーン全体のデジタル管理目指す

工場や店舗などの現場作業効率化とペーパーレス化をノーコードで実現できるソフトウエア「カミナシ」を提供するカミナシは7月5日、酒造大手の日本盛(兵庫県西宮市)が品質管理体制強化のため、「カミナシ」を導入したと発表した。その結果、年間223時間の業務時間削減を達成したという。


(カミナシ提供)

日本盛は創業120周年を機に制定したスローガン「もっと、美味しく、美しく。」の下、酒造りの技術とノウハウを活かした新たな製品開発を推進。2015年には業界初の缶入り日本酒を発売するなど、若者層をはじめとする新たなターゲットの開拓にも注力している。

22年には食品安全マネジメント規格の「JFS-B規格」の認証を取得。施設や設備、衛生、廃棄物、有害生物の侵入リスクなど、さまざまな要求事項の管理をより強化したが、認証取得後には製造現場に紙の帳票枚数が膨れ上がり、記録作業の工数が急増。加えて、ISOの食品安全認証「FSSC22000」の取得を検討するに際して、精緻な管理項目に対応するためには従来の紙の帳票による管理体制は煩雑で困難になるとみて、帳票のデジタル化に踏み切ることにした。

これまで日本盛の工場では、紙の帳票による管理だったため、印刷準備や保管に毎日20分ほどの時間を要していた。「カミナシ」導入後は、設備管理に用いる「機器部品欠品および破損チェック表」など製造現場の20以上の帳票をデジタル化し、印刷や保管の時間を解消。年に数回実施している監査でも10時間ほど短縮できたため、合計で年間223時間の業務時間削減につながった。

紙の帳票は手書きで記入するため、これまではどうしても誤記や抜け漏れが発生していた。「カミナシ」導入後は、入力時に漏れている項目や、設定した数値から逸脱した値を入力した場合はアラートを表示し、管理者にも通知する機能によって、入力や抜け漏れなどのミスを大きく削減。より精緻な記録や管理が求められる食品安全認証「FSSC22000」の取得に向けた品質管理体制の強化を果たせた。

日本盛は今後も「カミナシ」の活用範囲を拡大し、まだデジタル化できていない帳票を「カミナシ」に移行することで、年間1000時間の業務時間削減を見込む。さらに、醸造工程や物流工程にも展開し、サプライチェーン全体をデジタル管理することを目指す。

特に品質管理面では人の感覚に頼らざるを得なかった味や香りを評価する「官能検査」の標準化など、より良質な商品の製造を可能にする「品質保証システム」の確立を視野に入れている。

(藤原秀行)

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