三井不動産・篠塚執行役員、冷凍・冷蔵倉庫開発に意欲

三井不動産・篠塚執行役員、冷凍・冷蔵倉庫開発に意欲

4物件進行中、需要拡大見込む

三井不動産で物流施設開発を担う篠塚寛之執行役員ロジスティクス本部長は7月11日、東京都内で記者会見し、今後の施設開発に関する方針を説明した。

篠塚氏は、冷凍・冷蔵倉庫の開発に注力していく意向を強調。現在4物件を手掛けており、引き続き開発の機会を探っていく考えを示した。

また、建築コスト高騰で物流施設開発の事業環境が厳しさを増している中でも、建設会社との連携強化による経費抑制、先進技術の活用などで物件の差別化を図っていくことが可能と自信を見せた。


会見に臨む篠塚氏

「いよいよプロしか生き残れないマーケットに」

篠塚氏は現在、埼玉県杉戸町で同社として初めてマルチテナント型の冷凍・冷蔵倉庫を建設しているほか、千葉県船橋市でも同じく冷凍・冷蔵倉庫と用途を想定して開発していると説明。さらに、具体的な場所などには言及しなかったが、他に2件、プロジェクトを進めていると言及した。

「当社の強みの1つに商業施設事業があり、事業を通じて食品スーパーさんなど(冷凍・冷蔵倉庫を活用するテナント)とのリレーションを構築している。適切な場所に冷凍・冷蔵倉庫を配置していく。需要は伸びてきていると感じており、物件をこれからも増やしていきたい」と意気込みを見せた。

今後の賃貸物流施設市場に関し「建築コストは上昇し、賃料もなかなか上がってきていないが、当社としては逆にチャンス。いよいよプロしか生き残れないマーケット、時代に入ってきていると思う。当社は賃料が(周辺の相場と)全然違ったり、コストが全く合わなかったりした状況は起きていない。厳しいマーケットだが事業機会を獲得していく」と語った。

「2024年問題」の関連で、長距離輸送の中継輸送が増えることを考慮して、中部圏や東北の盛岡、岡山といった中継地点と見込まれるエリアでの物流施設開発も機会を探っていく考えを明らかにした。

伊藤忠商事が打ち出したフィジカルインターネットの実現構想に参加していることについては「トラックの積載率を高めるための新しい共同配送の仕組みであり、倉庫や車両の空き時間をデジタル技術で可視化、複数企業の倉庫やトラックを活用した物流網を構築し、物流効率を高めるという構想。その中で、物流網構築の1つとして、われわれの倉庫物件を使っていただくという役割になる。既存の物件もそうだし、これから新規で開発していく物件も入れていくイメージ」と述べた。

(藤原秀行)

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