日本郵便、10月2日からはがきや封書など普通郵便物の土曜配達を休止

日本郵便、10月2日からはがきや封書など普通郵便物の土曜配達を休止

「翌日」も21年1~2月に取りやめへ、経費抑制や働き方改革を推進

日本郵便は10月2日から土曜の郵便物配達を休止した。メールやSNSの普及などに押され、郵便の利用は取扱数が2020年度まで19年連続で前年割れが続き、ピークの01年度の6割程度まで落ち込んだ。今後も大幅に持ち直す見通しは立っておらず、同社はコスト削減や業務合理化を迫られている。配達業務の内容見直しで年間50億円程度の経費抑制を見込む。

土曜の配達休止は日本郵便の働き掛けを受け、総務省が郵便法の改正に着手。昨年の臨時国会で成立した。対象ははがきや封書などの普通郵便物、書籍やカタログなどを送るゆうメールで、翌日配達のエリアで金曜日の夕方までに投函しても送り先に届くのは週明けの月曜日となる。一方、書留や速達、ゆうパック、ゆうパケット、レターパックプラスなどはこれまで通り土日や休日も取り扱う。

改正郵便法に基づき、日本郵便は普通郵便物について、平日の翌日配達も2021年1~2月にかけて順次、全国で取りやめる方針だ。土曜の配達休止と合わせると、木曜日にはがきや封書などをポストに投函しても、配達は翌週の月曜と4日を要することになるため、投函する曜日に注意する必要がある。

日本郵便は土曜の配達休止や翌日配達の取りやめについて、社員の働き方改革の一環としても位置付けている。郵便物は郵便局に集められた後、夜間に仕分けしているため、配達業務の見直しで労働時間短縮など負荷を減らす狙いがある。

利用者にとってはサービスレベルの低下になるが、総務省が18~19年に実施した意識調査結果によれば、過半数の人が土曜の配達休止や翌日配達取りやめを容認する意向を示したという。日本郵便は配達業務を見直しても利用者に受け入れられるとみている。

サービスレベル低下を補うため、日本郵便は10月1日から速達料金を1割程度引き下げた。同社は土曜配達休止などでコストを抑えられるため可能になると説明している。

郵便事業は法律で全国一律のユニバーサルサービスを提供するよう義務付けており、収益改善が実現しなければ今後も料金値上げやサービス縮小・廃止などの形で利用者が不利益を被る可能性が極めて大きい。政府や日本郵便など関係者には国民負担が大きくならないうちに、小手先ではなく郵便事業を持続させるための抜本的な変革を検討することがあらためて求められそうだ。

(藤原秀行)

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