「次期中計では必ず海外の大きな柱」と展望
川西倉庫の若松康裕社長は5月29日、東京都内で開いた2019年3月期の決算説明会で、今後の新たな成長基盤確立に向け、インドネシアで冷凍冷蔵倉庫事業を拡大させることに強い意欲を示した。
若松社長は19年度(20年3月期)から3年間を対象とする新たな中期経営計画「Vision2021・新たな発展を目指して」に言及。期間中の設備投資約72億円のうち、横浜港頭の新倉庫建設に約20億円、インドネシアの2期倉庫建設に約20億円、東北地区の新倉庫建設に約5億円をそれぞれ投じる方針をあらためて説明した。
この中でインドネシアに関しては、政府を挙げて日本のコールドチェーンのアジア展開を後押ししていることも踏まえ、現行の3温度帯倉庫(約1700坪)の2倍前後の規模となる新たな冷凍冷蔵倉庫を開発したいとの意向を表明。
「ベトナムやタイは先駆的に取り組んでいる事業者がおられるので今から進出しても商売は非常に難しい。インドネシアは電子レンジの保有率が数%にとどまるなどコールドチェーンや冷凍冷蔵をめぐる事情がまだ良くなくてわれわれも苦労しているが、そういう事情があるので他の事業者もまだなかなか進出できていない」と指摘した。
その上で「今の中計では倉庫を建てるだけでせいいっぱいになるかもしれないが、次の中計には必ず当社の大きな海外の柱になると確信している。もう少しインドネシアに特化して取り組みたい。冷凍冷蔵は必ず伸びてくる」と決意を語った。
決算説明会に臨んだ若松社長
関東や東北で保管需要が旺盛
国内の倉庫整備のうち、横浜港頭地区はエリアの再開発に伴って代替施設を建設すると説明。「荷物があふれており(スペースを広げても)貨物を入れていただけるだけのボリュームを持っている。現状から倍増するくらいの5000坪前後の倉庫を、2年後くらいをめどに造りたい」と述べた。
東北地区は山形県の特定顧客向けに600坪程度の倉庫を新たに開発、20年3月には完成するとの見通しを表明。「今は600坪を借庫しているがお客さまの売り上げが増えて荷物がオーバーフロー気味なので、自社倉庫に取り込むことで対応していく。収益の改善が見込める」と話した。
国内外で景気減速の兆候が見られることに対しては「当社は(コーヒー豆など)食品関係を主に手掛けているので、消費が落ちてくればすぐに響くため非常に懸念されるところだ」としながらも、現状では首都圏で倉庫保管需要が旺盛なことなどを踏まえ「リーマンショック級のことがない限りはそこまで大きくは(需要が)落ち込まないだろう」と前向きな見方を示した。
(藤原秀行)