機関室内の「毒性克服」、26年完成時予定
日本郵船と日本シップヤードは8月19日、共同で開発し、2026年11月に完成予定のアンモニア燃料アンモニア輸送船(AFMGC、Ammonia-fueled Medium Gas Carrier)に関し、機関室に対する優れたアンモニア安全策を備えた船舶であることを示す船級符号の付記(ノーテーション)「Machinery Room Safety for Ammonia(MRS)」を竣工時に一般財団法人日本海事協会(ClassNK)から世界で初めて取得することになったと発表した。
両社は、MRS取得は同船にアンモニア燃料船の安全要件(ガイドライン)における最高水準の安全対策が施されていることを意味していると強調している。
両社が所属するコンソーシアムは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業の助成を得て、同船の設計開発を進めている。
機関室内の「毒性の克服」が大きな課題の1つで、配管やタンクから漏洩しない設計を施すなど、船員の安全を守る対策が必須。コンソーシアムのメンバーによるリスク評価、機関長・機関士を中心とするユーザー目線からのリスク評価・安全対策の立案、世界最高水準の安全性を実現する仕様を検討してきた。
ClassNKのアンモニア燃料船の安全要件(ガイドライン)は、船内でアンモニアを安全に使用するための最低限の設計要件を規定している。MRSを取得するためには、新たに制定した「機関室内で漏洩したアンモニアが人員に曝露する危険性を最小化する機能要件(任意適用)」を満たす必要があり、要件をクリアして安全性をより高めている船舶にのみ与えられる船級符号への付記となる。
両社は竣工に向けた詳細検討を継続するとともに、実運航を念頭に置いた運航マニュアルの整備などを図る。さらに、MRSの取得をはじめとした技術的なノウハウ・実績を活かし、関係会社とともにアンモニア燃料船の安全性をさらに高めていく構え。
同船概要
(プレスリリースより引用)
(藤原秀行)