プロジェクト開始、発注の一部自動化や輸送状況可視化などDX推進
三菱ふそうトラック・バスは8月21日、国内外でトラック・バス用部品の調達物流管理業務をDXで効率化するプロジェクト「サプライチェーンコントロールタワー」を開始したと発表した。
さまざまなデジタルツールを活用して発注業務の一部自動化や部品の輸送状況可視化、工場到着予定時間の予測などを推し進め、大幅なコスト抑制と時間短縮を実現したい考え。
同社は現在、トラックやバスに1台当たり1万点を超える部品を使い、国内製造拠点には国内外の数百に及ぶサプライヤーから毎日部品が届けられている。部品の発注・輸送は生産計画や部品の在庫状況などを踏まえ、週次・月次で管理している。
これまで、物流担当者が部品の調達物流を手掛けており、人手を要しているケースも多かった。
同社はDXを活用することで管理業務を大幅に効率化するとともに、近年は新型コロナウイルス感染拡大などのように車両製造に大きな影響を与える事態が多発しているのを考慮し、突発的な環境変化にも迅速かつ柔軟に対応できるサプライチェーンを構築したい考え。
インバウンド部品物流のイメージ
発注業務の一部自動化は、車両の生産計画と部品の発注計画を自動で照合し、各部品の在庫量を最適化するシステムを自社で開発しており、近く本格的に稼働させる予定。
世界的な物流の混乱で在庫データの精度が落ち、部品を過剰に発注してしまうケースが出ていたため、旧来は担当者が部品1件ごとに発注量を確認・発注するなど負担が大きかった。
新システムを取り入れることで、最適な発注量を自動で作成できるようにし、年間で数億円単位のコスト削減を図ることを視野に入れている。
また、輸入している部品についても、リアルタイムで輸送状況を確認、日本入港のタイミングを正確に把握できるようにする計画。
現状はオペレーターが輸送船の状況を船舶会社のウェブサイトを見たり、電子メールで受け取ったりと、複数の方法で能動的に確認している。今後は自社開発のシステムがAPI連携で外部の日本到着予定時間提供サービスから情報を取得し、全ての輸送船のリアルタイムな輸送状況と日本への入港予定日時を一元的にモニタリングできる仕組みを整える。
オペレーターは作業時間を大きく短縮できることになり、同社としては業務のアウトソーシングなど費用を抑制することが可能とみている。システムは今後数カ月以内に実用化する見通し。
加えて、プロジェクトの一環として、2022年に自社で開発したシステム「IBLコントロールタワー」も活用する。同システムは製造拠点に入構する国内サプライヤーからのトラック位置情報や道路交通情報を基に、車両の到着時間を予測する。
3種類のシステムは今年12月末までに出そろう見込み。
輸入部品輸送状況管理画面の画面イメージ(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)