【独自取材】オリックス・清田物流事業部長就任インタビュー(後編)

【独自取材】オリックス・清田物流事業部長就任インタビュー(後編)

「ニーズの変化から半歩先行く価値を提案したい」

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オリックスで物流施設開発を推進する物流事業部長に3月1日付で就任した清田(せいた)衛氏はこのほど、ロジビズ・オンラインのインタビューに応じた。

清田部長は物流業界の労働力不足解消支援のために打ち出したテナント企業への物流ロボット半年間無償レンタルサービスについて、2019年度中に成果を出したいとの意気込みを強調。さらにグループで展開しているヘルスケアや金融、保険などの事業と連動し、物流施設の付加価値を高められる新たな機能を生み出していくことに強い意欲をのぞかせた。インタビュー内容の後編を紹介する。


物流施設の付加価値向上への意欲を見せる清田部長

ロボット導入、トップダウンで決められる説得力ある提案目指す

―2018年5月に物流ロボットの半年間無料レンタルを打ち出しました。現在の利用状況はどうなっていますか。

「現状はテナント企業の皆さまと協議中のため、具体的にお話できることはまだありませんが、当社の物流施設でロボットの見学会を開いても非常に多くの方に参加いただいていることを考えるとニーズはものすごくあると実感しています。そうした思いに応えるため、当社としても、もう少し具体的な活用方法の提案をした方がいいのかなとも思っています」

―初期の情報システム構築も含めて半年間無料というのは本当に大胆な施策だと感じました。

「当社が長年物流施設の開発を手掛けてきて、物流企業の皆さまと懇意にさせていただいているので、現場の問題点についても細かく伺っています。自動化する際に一番のネックとなるのはやはり、巨額の初期投資に見合うだけの業務効率化や省人化の効果が本当にあるのか?という点です。事前に生産性向上の効果を算出できても、導入しようと社内でいざ稟議を上げるとなると、そうした疑問が上層部から出てきて、そもそも誰もロボット導入をそこまで大々的にやったことがありませんから、話が進まなくなってしまう。そうしたケースを多く目にしました」

「そこで当社も一緒になってロボット導入に取り組ませていただきますということで、取り組んでいるのがフリーレンタルです。いきなり3年や5年の利用契約を結ぶのは難しいでしょうから、まずは半年間無料でお試しになってからでいかがですか、というご提案です。一番面倒なのが自社システムとロボットを連動させる点ですからその部分も当社が担当し、産業用ロボットなどのレンタルを長年展開しているグループのオリックス・レンテックの厚みがある経験も生かしていく。お客さまのご要望にきちんと対応できるだけのロボットの組み合わせは当社グループで備えています。物流現場の悩みやニーズをしっかりと把握できているからこそ、こうした制度設計ができていると自負しています」

「ただ、庫内作業を受託されている物流企業の方々にも最近は景気の先行きに不安をお持ちの方が多くいらっしゃいます。そうした状況では大型投資をするのも慎重にならざるを得ませんし、現場のご担当の方々だけで導入を決めるのは困難でしょうから、物流企業の経営層の方々がトップダウンで決められるだけの説得力ある提案をしていきたい。19年度中にはフリーレンタルを活用した物流ロボット導入の成果をぜひ挙げていきたいですね」


物流ロボット導入のイメージ(オリックス提供)

商業施設や住宅と組み合わせた面的開発の可能性も

―お話された通り、国内外で景気減速の懸念が広がっています。物流施設の需要にも影響してくる可能性があるのでは?

「リーマンショック級のことが起きて景気が明確に腰折れしない限り、急激に需要が縮小することはないのではないでしょうか。物流施設の利用を検討されてから入居を決めるまでのスピードが遅くなるということはあるかもしれません。ただ、物流企業の決算を見ていても、3PL事業はまだまだ伸ばすと表明されています。eコマースもまだまだ伸びていくでしょう。既存施設では業務効率化や働き方改革への対応には限界があるとも言われますし、先進的な物流施設でなければ今の細かい業務フローが成り立たない部分もあります。そうした需要がいきなり激しく落ち込むのは考えにくいと思います」

―前編でもお話が出た、物流施設の従業員向けに健康管理をサポートするサービスのほかに新しく考えていることはありますか。

「今は企業にとっても物流施設で働く方々が稼ぎ頭というように考え方が変わってきているように見えます。物流施設に優秀な人材が来てもらわないと事業が始まらないという思いもあるようです。デベロッパーとしてもそうした思いの実現に貢献するため、健康促進といった切り口でチャレンジしてみました。まだ細かくお話できることはありませんが、次のテーマは何にするか部内でもいろいろと議論を重ねています」

「ここ2年くらいは世の中の変化のスピードが本当に早くなっています。当社としても乗り遅れないようにしていきたい。できれば変化の半歩くらい先を行けるようにしたいというのが個人的な抱負です」

「テーマとしてはBCP(事業継続計画)も近年非常に重要な意味を持っています。物流企業の経営層の方にお会いすると、台風などの災害が続発した昨年後半からはもっぱらBCPの話がメーンです。荷主からも相当厳しく対応を求められているようです。それだけ皆さん、真剣にお考えになっていることだと思います。細かい工夫がいろいろと必要になってくるのではないでしょうか」

―健康管理支援は御社も出資しているスタートアップ企業のメドケア(東京)がインターネットの健康推進プログラム提供という形で連携しています。他にもグループで持つ多様な機能は引き続き強みになりそうですか。

「おっしゃる通り、当社グループは金融や保険などいろいろな部署がありますから、そこは連携することでお客さまのお役に立てるだけのさまざまな機能を生み出していけると思います。前編でもお話ししましたが、私が長く担当していたマンション開発でも、今は大規模な物件では普通に見られるゲストルームを、当社は50戸程度の規模のマンションに導入するなど、業界に先駆けた試みをしてきました。物流施設でもいろんなことにチャレンジしていきたい」

「商業施設の開発・運営も数多く手掛けていますから、物流と商業の連携も可能性はあるでしょう。物流施設と言えば、以前はインターチェンジの近くで人があまり住んでいないところに建設するケースがよく見られましたが、今は働き手を集めやすいという意味から人が多く住んでいるエリアが重視されています。そうなれば物流施設のほかに商業施設や住宅なども組み合わせた面的な開発の可能性も出てくるでしょう」

(藤原秀行)

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