事業者の2割強、24年問題の時間外労働上限規制強化で「働きにくくなった」

事業者の2割強、24年問題の時間外労働上限規制強化で「働きにくくなった」

タイミー調査、4月以降減ったものは「残業時間」「荷量」「輸送距離」多く

タイミーは9月26日、自社の短期間バイトマッチングサービスに登録している全国の事業者442社を対象に実施した「物流2024年問題」に関するアンケート調査結果を取りまとめた。事業者は物流事業者と荷主企業の双方が名を連ねている。

4月に時間外労働の上限規制強化が始まって以降、「働きにくくなった」と回答した事業者が4分の1超に上り、一定程度の荷主企業や物流事業者が輸送の効率化などで頭を悩ませている実態をうかがわせた。

調査概要
調査名  :「物流2024年問題に関するアンケート」
調査期間 :2024年9月13〜17日
調査対象 :タイミーに登録している事業者442社
エリア  :47都道府県
調査方法 :インターネットリサーチ

「2024年問題」に関しては、事業者の7割が何らかの対応が発生していると回答。このうち、「大がかりな対応」は12.0%、「やや対応」は33.5%、「あまりしていない」は21.9%だった。

対応が発生している事業者に対して「対応状況」を尋ねたところ、35.6%が2024年問題の始まる直前の24年3月時点で対応完了済み、15.8%が4~8月の間に対応完了をそれぞれ選択。24年12月までに完了予定の事業者が7.0%、25年1月以降の予定と回答した事業者が3.0%となった。

半面、約4割の事業者が「対応の目処が立っていない」と答えた。

「時間外労働上限規制」適用後の変化について聞くと、「増えたもの」は「燃料・資材価格」が75%を超え、「人件費」も50%を突破するなど、コスト増への対応を強いられている実態が浮かんだ。

一方、「減ったもの」は「残業時間」「荷量」「輸送距離」などが挙がった。タイミーは「各社が2024年問題の対応として、ドライバーらの時間外労働を発生させないよう、荷役分離を図り、作業人員だけでなく給与のベースアップなどの対応を進めていることが伺える」との見方を示した。

「時間外労働上限規制」適用後の働きやすさについては、「変わらない」が67.0%で最多だった。「やや働きにくくなった」は17.4%、「とても働きにくくなった」は9.0%で、4分1以上が「働きにくくなった」と認めた。

「とても働きやすくなった」は5.0%、「働きやすくなった」は1.6%で、少数派ながら前向きの結果を得ているとの声もあった。

「時間外労働上限規制」適用後の働きやすさに関する具体的な事業者の回答は以下の通り。

・基本給の上昇により残業有りきの給料ではなくなり、従業員の意識が無駄な残業をせず、限られた時間の中で作業効率を上げる意識が定着しつつある 
(倉庫業、「やや働きやすくなった」と回答)

・労働時間の意識改革が進み、ドライバー、事務職の間で意見交換がしやすくなった。
(運輸業・郵便業、「やや働きやすくなった」と回答)

・働きやすくなった点もあるが、激しく変化する業務内容や流通商品の変化と変更に対応することがとても困難である。
(卸売業・小売業、「やや働きにくくなった」と回答)

・以前より配送が遅くなったため、荷受担当のパートさんがいない時間に配送トラックが来るケースが増えた。
(卸売業・小売業、「やや働きにくくなった」と回答)

タイミーは結果を総括し、「配送が遅くなった、業務内容や商品の変化・変更などへの対応に苦慮する声も見られるが、労働時間に対する意識改革が進み、限られた業務時間の中で作業効率を上げる意識が定着するなどの良い影響も見られた」と指摘している。

(藤原秀行)※いずれもタイミー提供

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