公取委、製造委託先へ金型の無償保管強いたSANEIに下請法違反で是正勧告

公取委、製造委託先へ金型の無償保管強いたSANEIに下請法違反で是正勧告

「仕入れ割引」と称し470万円代金減額も

公正取引委員会は9月26日、水栓金具メーカーのSANEIに対し、金具の製造を委託している下請け企業に支払うべき代金を不当に減額したのは下請法違反に当たるとして、同日付で再発防止を図るよう勧告した。

公取委によると、SANEIは遅くとも2022年7月以降、金具の金型692個に関し、発注を長期間していないのに下請け企業50社に無償で保管を続けさせ、現状確認などのための棚卸し作業を1年間に1回行わせていた。

また、22年7月から今年1月までの間、下請け企業側に落ち度がないのに、「仕入れ割引」と称して下請け代金を減らしていた。減額は10社に対してトータルで約470万円に上るという。

SANEIは公取委の指摘を受け、昨年7月から今年4月までにかけ、無償保管させていた金型のうち182個を廃棄。減額した約470万円は今年8月、全額を下請け企業に支払った。

SANEIは同日、「常日頃、ご協力、ご支援いただいている対象事業者様との取引において、本勧を受けるに至った事態を大変重く受け止めております。今後の取引において、下請事業者様の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることや、下請事業者様の利益を不当に害することのないよう、当社取締役会の決議により確認するとともに、社内において下請法の研修を行うなど、社内体制の整備のために必要な措置を講じ、役員及び従業員に周知徹底の上、コンプライアンスの一層の強化ならびに運用の改善と再発防止に努めてまいります」とのコメントを発表、謝罪した。

仕入れ割引の運用を廃止したほか、無償保管の費用相当分を下請け企業に今後支払うと説明している。

(藤原秀行)

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