デベロッパーとして業務自動化ニーズへの対応に意欲
不動産協会の吉田淳一理事長(三菱地所会長)は9月26日、東京都内で開催した理事会後の定例記者会見で、政府が先進技術の活用などで物流業務を効率化するよう荷主企業や物流事業者に強く求めていることに関連し、物流施設に入る荷主企業や物流事業者の業務自動化のニーズにデベロッパーとして引き続き対応していくことに意欲を見せた。
吉田会長は、トラックの自動運転に対応できるよう高速道路に直結した大型の物流施設を開発する動きが出ていることに触れ、「1社だけでなくトータルとして国も絡んでやっていく、国策としてもしっかり対応していくという中で、民間企業のわれわれもしっかりとそこに連携してやっていくということになろうかと思う」と指摘。先進技術を活用して物流現場の自動化・省人化を図る政府の動きと歩調を合わせて、新たな物流施設の開発を推し進めていくとの見通しを明らかにした。
また、賃貸物流施設市場の動向に関し「建築費が以前の5割を超えるくらいの水準まで高騰している。従来と同じくらいの賃料水準しか取れないとなると、非常に(事業として)成り立ちにくくなっている」と解説。
併せて、「物流施設も適地がだんだん少なくなってきている。供給も増えたことで、エリアによっては賃料水準を下げないと埋まらないところも出てきている。(建築費高騰と)ダブルで非常に厳しい状況だと思う。そこは工夫を重ねながら、事前にお客様のニーズを把握して事業を進めないと危険な状況が生まれてきている」と述べ、より慎重かつ丁寧に開発へ臨む姿勢がデベロッパーに求められるとの見方を示した。
会見する吉田理事長
(藤原秀行)